「同盟国の目的は、千九百四年の第一次世界戦争の開始以後に日本国が奪取し又は占
領した太平洋におけるすべての島を日本国からはく奪すること、並びに満州、台湾及び
澎湖島のような日本国が清国人から盗取したすべての地域を中華民国に返還することに
ある。」(『解説 条約集』三省堂)
外務省の台湾に対する見解の根底にもこの「カイロ宣言」があり、地球儀問題や外務
省ホームページ問題のときにも「台湾は中国に返還されるのが自然なのではないか」と
述べたのには、改めてその根の深さに驚いた。その上、橋本総理時代に「台湾の独立は
支持しない」と打ち出したバックボーンとなっていると説明するのだから、この「カイ
ロ宣言」の呪縛を解かない限り、日本の台湾問題への姿勢は常に及び腰にならざるを得
ない。それが中国を利することにもなっている。
台湾の陳水扁総統が、英国紙「フィナンシャルタイムズ」のインタビューで、いかに
「カイロ宣言」なるものが嘘っぱちで拘束力のないものかを喝破している。「台湾週報」
から転載してご紹介したい。 (編集部)
陳水扁総統:「カイロ宣言」は署名がないニセモノ
【3月18日 台湾週報】
陳水扁総統は3月13日、英国紙「フィナンシャルタイムズ」のインタビューに応じ、
その内容が同紙インターネット版に掲載された。
このなかで陳総統は、4年前に中国の温家宝・総理が「中国が台湾の主権を有してい
ることは『カイロ宣言』できわめて明確に示されている」と発言したことに関して、
「多くの人は『カイロ宣言』に、中国が台湾の主権を有することが明確に言明されてい
ると信じている。過去、われわれが学生のときも、国民党政府の教育はわれわれにこう
教えてきた。国際社会もそのように認識していた。(カイロ宣言が発表された)1943年
からいまに至るまで、60年もの間、1943年に蒋介石、チャーチル、ルーズベルトの3カ
国の首脳が中国は台湾の主権を確かに有していると決定したと、多くの人々が信じて疑
わなかった」と述べた。
そのうえで、陳総統は「1943年12月1日の『カイロ宣言』についてはっきりしている
のは、時間と日付が記されておらず、蒋介石、チャーチル、ルーズベルトの3首脳のい
ずれも署名がなく、事後による追認もなく、授権もない。これはそもそもコミュニケで
はなく、プレスリリース、声明書に過ぎないのだ」と指摘した。
陳総統は「12年後の1955年2月1日、チャーチル首相は国会質問で、『カイロ宣言』
に基づいて中国が台湾に対する主権を有するということには同意できないと答えたよう
に、当時3人にはそもそもコンセンサスなどなく、そのため署名もなかったのだという
ことが見てとれる」と述べ、「こんなに重要な文書が英国の国家ファイルでも原本が見
つからない。歴史は歪曲、改竄されることはよくあることで、以前われわれが学んだ歴
史の中の『カイロ宣言』の部分は、完全にだまされていたのであり、これはきわめて厳
粛な問題である」と訴えた。
陳総統は「中国はいまも『カイロ宣言』をもとにして、中国は台湾の主権を有してい
ると宣伝しているが、『カイロ宣言』は事実上問題がある」との認識を示し、「歴史を
書き改めなければならない。われわれ台湾は主権国家であり、台湾の主権は中国大陸13
億の人民には属していない。台湾の国家主権は台湾2,300万国民に属している。これは
事実であり、現状でもある」と強調した。
さらに、陳総統は「ほぼ99.9%の人が『カイロ宣言』にはそもそも中国が台湾の主権
を有することが書かれたわけではないというこの事実を知らないのは、過去の教育が杜
撰であり、歴史が改竄されていたからだ。だからこそ、中国は自己に有利なためこれを
引用し、国民党は台湾を統治する際の法的統一の基礎としたのだ」との認識を示した。
また、陳総統は「1971年の国連第2758号決議文の全文153字の中にはそもそも『台湾』
が触れられていない。国連第2758号決議は『中国』代表権問題のみが解決しただけであ
り、中華人民共和国が台湾2,300万の人々を代表してよいとは言っていない。パン・ギ
ムン(潘基文)国連事務総長や中国はこれを拡大解釈、誤った解釈をもって、『台湾は
中華人民共和国の一省であり、地方政府に過ぎない』とミスリードするのは、完全に事
実と合致しない」と強調した。
陳総統は「中国の誤った解釈は『カイロ宣言』に基づいている。国連第2758号決議の
誤った解釈も『カイロ宣言』から来ている」と指摘し、中国は信用できない商品が多い
ことを挙げたうえで、「『カイロ宣言』もニセモノだ」と糾弾し、駐外代表処や大使館
など外交ルートを通じて「カイロ宣言」の歴史の真相を明らかにする考えを示した。
【総統府 2008年3月14日】
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