陳唐山・新外交部長「台湾の存在を世界に知らしめることが夢」と抱負

本誌4月21日付の第14号でもお伝えしましたように、私どもが3月に「台湾総
統選挙視察団」として訪台した折、黄崑虎・李登輝友之会全国総会会長のご自宅
でお会いした前台南県県長で立法委員の陳唐山氏が、4月16日、簡又新氏の後を
襲い外交部長(外務大臣)に正式就任いたしました。
 在米経験が長く、ブラックリスト組の陳唐山氏ですが、1935年すなわち昭和10
年生まれですので、世代的には、周英明(昭和8年)、金美齢(同9年)、連根
藤(同11年)、伊藤潔(同12年)、宗像隆幸(同12年)、黄文雄(同13年)と
いった方々と同世代で、終戦時は10歳ですので、日本語も話すことができます。
 台南県長時代からその高い識見により注目されておりましたが、お会いした
折、今回の総統選挙に関して「台南県の6割をまとめたい」とおっしゃっていま
した。その投票結果を見ますと、総投票数約65万票のうちなんと42万、すなわち
65%近くが陳水扁総統に投票しています。
 今回の総統選挙で陳総統への得票率が6割を越えたところは、雲林県、嘉義
県、台南県の3ヵ所ありますが、その中でもダントツの得票率、すなわち台湾一
の得票率を誇っているのが台南県です。もちろん陳総統の生まれ故郷ということ
もありますが、前回より11%も得票を伸ばした背景に陳唐山氏の働きがあったこ
とは疑えません。
 日本としても陳唐山外交部長の手腕に期待するところ大です。台北駐日経済文
化代表処の機関誌「台湾週報」に関連記事が掲載されましたので、ご紹介いたし
ます。
 尚、漢数字を算用数字に変え、氏の略歴に元号を追加表示いたしました。  
                               (編集部)

陳唐山外交部長で新たな船出
両岸安定の中に台湾の立場を世界に知らせる

●新外交部長に陳唐山氏
 游錫?内閣は5月12日に総辞職し、ただちに新内閣を組織して2期目になる陳
水扁総統の5月20日の就任式に備える予定だが、主要ポストについて内定が進ん
でいる。このうち最も注目されるポストの一つである外交部長については、現任
の簡又新・部長が4月9日に辞表を提出したため、游院長は同日、後任に在米経
験の長い民進党立法委員である陳唐山氏を指名した。
陳唐山氏は米国で博士号の学位を修得し、6カ国語に精通して米国務省に10数年
在籍し、ワシントンに駐在していた時には世界台湾同郷会会長、台湾人公共事務
会(FAPA)会長を歴任し、当時の政権からブラックリストに名を載せられ
「体制外の駐米代表」と言われるなど、逆境に強い人物である。また在米時代に
培った人脈は多岐にわたり、政府、議会、シンクタンク、社団の各層の有力者を
網羅している。台湾の民主化が進み、台南県長時代には「最も優秀な県長」と言
われ、その行政手腕は広く認められている。
 さらに、昨年陳水扁総統が総統選挙と同日に平和に関する公民投票を実施する
と表明したとき、陳唐山氏は台南での記者会見で「米国は世界の強国であり、建
国の理念は自由と民主である。台湾が現状を変えず、米国に影響を与えない範囲
内において、米国は台湾の公民投票に反対する理由はない」と米国に呼びかける
など、旗幟を鮮明にした。
 游錫コン行政院長は4月11日、行政院において陳唐山氏とともに記者会見に応
じたが、このなかで陳唐山氏を「20年来の旧くからの友人」と称し、陳氏は年下
の游院長を「政治上の先輩」と称した。さらに游院長は陳氏を「実務的な理想主
義者」と紹介し、陳氏は「かつてはブラックリストに名を載せられ、米国で体制
外の活動をしていたが、時代は変わり、体制内の外交部長を担当することになっ
た。実務的な観点から外交政策を進めたい」と語った。
 また米中台の三国関係について、陳氏は「中国の台湾に対する謀略的意図に変
化はなく、台湾を最も重要に考える者にとって、国際活動の場の開拓を継続する
ことによってこそ、両岸関係の安定が得られると思う。対米関係においては、台
米両国の共同利益を基礎とし、米国の利益と台湾の尊厳を考慮して二国間関係を
推進すれば、必ず順調に進むものと確信している」と表明した。

《台北『自由時報』4月10〜12日》

●陳唐山・新外交部長略歴

1935年(昭和10年) 台南県塩水鎮生まれ
1959年(昭和34年) 台湾大学大気物理学科卒
1966年(昭和41年) 米・オクラホマ大学修士
1972年(昭和47年) 米・プドゥー大学博士
1973〜92年(昭和48年〜平成4年) 米商務省在籍
1979年(昭和54年) 全米台湾同郷会会長、世界台湾同郷会会長
1982年(昭和57年) 台湾人公共事務協会会長
1992年(平成4年) 立法委員
1993年〜2001年(平成5年〜13年) 台南県県長
2000年〜現在(平成12年〜16年) 総統府科学技術諮問委員会委員
2001年〜04年(平成13年〜16年) 立法委員
【外交部 4月20日】

●台湾の意思を世界に知らせる

 新旧外交部長の交代式が4月16日、外交部において挙行された。この中で陳新
部長は、これからの台湾外交として「中華民国の国家主権と国家としての地位を
堅持する。台湾海峡の安定と平和を堅持する。国際協力への参加を堅持する」と
語った。さらに「私には夢がある。外交部と台湾のすべての力を結集し、世界の
人々に、西太平洋に島国があり、その国は中国の強権に断固対抗しており、その
国の名は『中華民国』というが、それがすなわちわれわれ台湾であるということ
を知らせることだ」と語った。
                      《台北『自由時報』4月17日》
                 [4月29日付「台湾週報」(2141号)より]