【8月15日 MSN産経ニュース】
【台北=長谷川周人】台湾の陳水扁前総統は15 日、海外に親族名義で開設した銀行
口座に選挙資金を不正蓄財していた問題の責任をとり、呉淑珍夫人とともに民主進歩党
を離党するとの声明を発表した。陳氏は「過ちを犯し、恥じ入り、責任を感じる」と謝
罪した。離党が民進党の今後に重大な影響を与えるのは避けられない。
陳氏は中国国民党の不正資産取得を糾弾し、民主化による「台湾化路線」の推進を掲
げ期待を背負った。だが、政権末期に次々と腐敗が露呈し金銭醜聞によって世論の失望
を買った。
陳氏は14日、過去4回の選挙でかかった経費を不正申告し、余った資金を呉淑珍夫人
が海外の口座に送金していたことを認め、謝罪した。同時に「1月に妻が送金していた
ことを知り、資金を外交など台湾のために使おうと決めた」とも釈明し、「悪質な資金
洗浄だ」とする国民党の攻撃をかわそうとした。
しかし、民進党内からも「台湾人の恥辱だ」との非難が噴き出し、党は「陳氏を擁護
すれば党と路線の崩壊を招く」(幹部)と判断し、夫妻の離党を認めた。
不正蓄財に利用したのはスイスの銀行口座と伝えられ、送金総額は「2000万ドル(約
22億円)」(陳氏の事務所)とされる。
台湾の法務部(法務省)は夫妻の海外渡航を制限し、スイスの司法当局との共同調査
に乗り出す。検察当局も陳氏の総統府機密費の横領容疑に加え、不正蓄財疑惑でも事情
聴取する方針だ。