速戦即決の強硬策を取る台湾を「うらやましい」と評価する韓国紙

 武漢肺炎こと「COVID(コヴィット)19」の蔓延により、日本はようやく3月9日午前0時から、中国と韓国からの入国者に対し、自宅などに2週間の待機と公共交通機関を使わない「要請」をするようになった。遅すぎるという批判も出る措置だが、まっとうな措置だろう。

 中国は理解を示したものの、韓国は「韓国人の入国を拒否するのか」と激高し、康京和・外交部長官が冨田浩司・駐韓日本大使を直接呼びつけるという異例の抗議で臨み、9日午前0時から短期滞在のためのビザ免除措置を中断し、発行済みのビザについても効力を停止する対抗措置を打ち出した。

 なんとも大人げない対応で、中国に弱腰のWHOからさえたしなめられる始末だ。

 韓国紙も文在寅政権のこの措置に疑問を呈し、中国も2月25日から事前協議なしに地域別の2週間隔離措置を実施し、その中国に韓国が相互措置を取っていないことを挙げ、外交部担当者に「非友好的・非科学的措置というのは中国には適用されないのか」と詰め寄ると「この当局者は言葉に詰まった」(3月7日付「朝鮮日報」)と報じている。

 一方でこの朝鮮日報は、台湾が韓国とは正反対の速戦即決の強硬策を取って「中国と香港・マカオから来る外国人の入国を全面的に中止した」ことや「マスクの輸出を全面的に禁止した」ことを「うらやましい」とするコラムを掲載、台湾を高く評価している。

 朝鮮日報は韓国最大の発行部数を誇り、現在の文在寅政権には批判的な一方、親日的と言われる。本誌で韓国紙を紹介することはめったにないが、台湾でも評価される蔡英文政権の武漢肺炎への的確な対応について、韓国メディアも評価していることなので下記にご紹介したい。

—————————————————————————————–台湾がうらやましい【朝鮮日報「コラム」:2020年3月8日】http://www.chosunonline.com/svc/auth/index_login.html?contid=2020030680142&code=news

 妻は最近、毎朝マスクを買うために町中のスーパーと薬局を回る。長時間行列に並んでも前の方の人で売り切れになり、買えないケースがほとんどだ。一度使ったマスクは壁に掛けて乾かしてから再利用する。昨日は「運よく10個買った」と喜んでいた。価格は普段の10倍以上だったという。

 会社の近くにタッコムタン(鶏煮込みスープ)の店がある。いつも長い行列ができていて一度も食べたことがなかった。数日前、夕食の時間に行ってみると、客がほとんどいなかった。店の主人は「あのウイルスが広まってからお客さんが減った」と話した。考えてみれば、筆者も食事の約束をすべてキャンセルした。

 韓国の社会は止まってしまった。武漢コロナ(新型コロナ)ウイルス感染症が拡大して以降、コミュニケーションの大部分は有線(電話)で進められている。マスクを買えずにさまよう人だけが動いている。商店、劇場、飲食店、スポーツ施設はガラガラだ。景気が良いはずがない。

 韓国の2月のサービス物価上昇率は0.4%だ。これは通貨危機以来の最低値だ。国民が外で何もしていないという意味だ。今年の経済成長率がマイナスを記録すると予想する民間の経済専門家も多い。政府は補正予算11兆7000億ウォン(約1兆500億円)を執行するという。MERS(中東呼吸器症候群)のときの2倍だ。これが最善なのか。他の方法はなかったのか。

 感染者が42人(3月4日現在)で韓国の134分の1しかいない台湾と比べてみよう。台湾は中国が武漢を封鎖した1月23日から順次、中国からの入国を制限し始め、2月7日には中国と香港・マカオから来る外国人の入国を全面的に中止した。韓国は2月4日から武漢のある湖北省からの入国だけを制限したが、それとは正反対の速戦即決の強硬策だ。

 マスクに関する台湾の措置には驚く。1月24日からマスクの輸出を全面的に禁止した。野党は「人道主義の原則に反する」と反発したが、行政院長(首相)は「自分を救ってこそ他人も救える」と述べた。先を見通す能力のない韓国政府は1月28日、中国にマスクと防護服を支援すると発表した。仁川空港は一時、マスクを担いで出国する中国の行商人でいっぱいだった。

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