中国人学者が武漢疾病対策予防管理センターからのウイルス流出可能性を指摘

 武漢肺炎こと「COVID(コヴィット)19」の感染は拡がるばかりで、収まる気配はない。日本では2月23日の一般参賀が中止となり、3月1日に開かれる東京マラソンも一般参加者は出場できなくなり、エリートランナー枠の選手のみで実施すると発表された。

 やはり、この新型コロナウイルスは中国・武漢のどこが発生源だったのかが気になる。

 本誌で紹介したように、中国政府は発生源を湖北省の武漢市にある「華南海鮮市場」と特定し、この海鮮市場で大量の新型コロナウイルスが検出されたと発表、1月1日にこの市場を閉鎖してしまった。また、新型コロナウイルスは動物の体内で突然変異し、武漢の海鮮市場で人感染するようになったという「突然変異」説を指摘する専門家の見解も伝えられていた。

 果たしてそうなのか。その後も、中国が人為的に作り出したのではないかという疑惑を伝えるニュースとして「看中国/Vision Times Japan」誌が「インドの科学者は、2019-nCoVウイルスにほかのウイルス由来のアミノ酸配列が人工的に移植されていることを発見した」と報じたことなどを紹介してきた。

 また、糖尿病の専門家で、臨床医の林建良・本会常務理事も、人為的に作られた可能性を否定できないとする見解を発表している(藤井厳喜の『ワールド・フォーキャスト』)。

 このほど、韓国の日刊新聞「中央日報」が、中国人の学者が武漢疾病対策予防管理センターの実験室から流出した可能性を指摘する論文を発表していたと報じている。下記に林建良氏の見解とともに、中央日報の記事をご紹介したい。

—————————————————————————————–中国の教授「コロナ、武漢市場近くの実験室から流出」【中央日報:2020年2月17日】https://japanese.joins.com/JArticle/262641

 中国だけで1660人以上の死亡者を出した新型コロナウイルス感染症(コロナ19)が中国実験室から流出した可能性を提起した論文を中国の学者が発表していた。

 16日、明報や蘋果日報など香港メディアによると、中国広東省広州の華南理工大学生物科学と工程学院の肖波涛教授は今月6日にグローバル学術サイト「Research Gate(リサーチゲート)に論文を発表した。

 論文は新型コロナがコウモリから中間宿主を経て人に伝染した可能性よりも、湖北省武漢の実験室2カ所から流出した可能性を提起した。肖教授は武漢ウイルス研究所よりも武漢疾病予防管理センターが震源地である可能性が高いとみられると主張した。武漢ウイルス研究所は新型コロナが集中的に検出された華南水産市場から12キロメートル程度離れているのに対し、武漢疾病対策予防管理センターはわずか280メートルの距離にあるためだ。

 肖教授は実験室からの流出とみている理由について、新型コロナの天然宿主である「キクガシラコウモリ」は武漢から900キロメートル離れた雲南省・浙江省などに棲息していて、食用としては特に使われていない点を挙げた。また、武漢市政府の報告書や武漢市民の証言を総合すると、華南水産市場でこのようなコウモリは扱われていなかったという。

 反面、武漢疾病予防管理センターは2017年と2019年、実験用に多くのコウモリを捕まえた。2017年には湖北省・浙江省などで約600匹のコウモリを捕まえたが、この中には重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスを持つキクガシラコウモリも含まれていた。当時、同センターの研究員は、勤務中にコウモリに噛まれたり尿をかけられたりしたと話した。同センターはコウモリの細胞組織を分離させてDNAとRNA配列などの研究を行ったが、ここで出た汚染されたゴミがウイルスの温床になったというのが肖教授の主張だ。

 初期に新型コロナに感染した患者が訪れた場所として知られている協和がん病院は武漢疾病対策センターとは通り一つを挟んだところにあったと論文は伝えた。こうした中、科学技術部の呉遠彬局長は15日、「実験室でウイルスを研究する際に安全にさらに注意を傾ける内容の指導意見を発表した」と明らかにした。現在、肖教授とは連絡が取れず、該当論文はサイトから削除された状態だ。

 共産党の理論紙「求是」は、習近平首席が先月7日の政治局常務委員会会議でウイルス事態を予防・統制するために努力するよう指示したと16日、公開した。今回の公開で習主席が新型コロナを初期に把握していただけでなく、対処の指揮さえしていたと認めるようなもので、習主席の対応失敗責任論が強まっているとニューヨーク・タイムズ(NYT)は報じた。

 一方、台湾で新型コロナの感染によって初めて死亡者が出たと中国現地メディアが16日、伝えた。この患者はB型肝炎と糖尿にも罹患していた。中国本土を除く地域で死亡者が出てきたのはこれで5例目となる。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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