本命に傷 総統選混迷 野党・馬氏起訴揺れる台湾 救済策に党内反発
【2月18日 西日本新聞】
【台北17日遠矢浩司】2008年3月に予定される台湾の次期総統選へ向けた動きが本格化
してきた。最大野党・中国国民党の馬英九・前主席が汚職で起訴された直後に立候補を表
明したのに続き、与党・民主進歩党(民進党)の謝長廷・前行政院長(首相)が16日、「
四天王」と呼ばれる同党有力政治家のトップを切って出馬意向を表明した。最有力候補と
目された馬氏起訴で情勢は混迷、国民党は分裂選挙も取りざたされる事態になっている。
政権奪回を狙う国民党では、12日に起訴され刑事被告人となった馬氏が党候補となれる
かをめぐり対立が生じている。党執行部は馬氏救済へ「起訴されたら公認候補としない」
という党規定を削除したが、馬氏と党主席を争った最大のライバルで、総統選に意欲をみ
せる王金平・立法院長(国会議長)支持派が反発。王氏も15日、「道徳を失って人々の支
持を得られるか考慮すべきだ」と批判した。
馬氏は、今回の党規定削除について沈黙を守っており、党内外の反応を見極めている状
態だ。馬・王両氏は16日、連戦名誉主席の仲介で会談。「勝利の可能性の高い正副総統候
補の組み合わせを選出する」と合意した。どちらかが副総統候補に回る案と受け止められ
ているが、実現するかは不透明。むしろ、台湾メディアは公認争いの敗者が単独立候補す
る可能性も探っていると報じている。同党は、党員投票と世論調査を経て5月末に候補を
選出する予定だ。
こうした情勢をみて民進党は14日、公認候補選びを早めて3月5日から「ポスト陳水扁」
を決める予備選の受付を始めることを決定。同党も5月に党員投票と世論調査を実施し同
30日に総統選党候補者を決める方針だ。謝氏のほかに、蘇貞昌・行政院長、呂秀蓮・副総
統、游錫〓(〓は方二つの下に土)・党主席の四天王全員が意欲を示している。今のとこ
ろ、昨年12月の台北市長選で善戦した謝氏と、庶民性と実行力に定評がある蘇氏の下馬評
が高い。
台湾政界に詳しい関係者は、05年夏の馬主席就任から続いていた国民党攻勢の流れが同
氏起訴で完全に止まったと指摘。「今の情勢は与野党五分五分。馬氏の清廉イメージが傷
ついた国民党の痛手は大きい」と分析している。
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