車両は日本製で、日本の川崎重工業や日立製作所などが製造し、「のぞみ」などの700系車両を改良した700T型だ。
昨日(9月10日)、蘇貞昌・行政院長は屏東市において、台湾新幹線の南端の終点を左営(高雄)から屏東まで延伸すると表明した。現在、4ルートが検討されているそうで、2020年初頭に正式案が完成する予定だという。延伸事業は交通部と台湾高速鉄路の共同事業になるという。下記に中央通信社の記事をご紹介したい。
日本経済新聞は総統選挙の絡みもあるとして「台湾は来年1月に次期総統選が迫り、延伸は蔡英文総統が再選するための選挙対策との見方もある」「南部の開発をてこ入れし、地盤を固める構えだ」と報じている。
確かに近視眼的には選挙絡みの思惑もあるのだろうが、開通までは10年以上かかる見通しだという。日本統治時代の1908年(明治41年)に基隆から高雄まで縦貫鉄道を整備し、人とモノを大量にかつ早く運搬できるようになって台湾の近代化を進めたように、台湾の将来を見据えて「人とモノの流れをつなげ、台湾全体の競争力を高める」(蘇貞昌・行政院長)ことがいまの台湾には必要だ。
なお、屏東への延伸とともに、北では宜蘭への延伸も計画されており、敷設されれば台北・宜蘭は15分で結ばれるという。
—————————————————————————————–台湾新幹線、屏東延伸へ 蘇行政院長が発表 月末にルート案を審議【中央通信社:2019年9月10日】http://japan.cna.com.tw/news/atra/201909100004.aspx
(屏東 10日 中央社)蘇貞昌行政院長(首相)は10日、台湾高速鉄道(高鉄、新幹線)を南部・屏東県まで延伸させると発表した。屏東延伸計画では、ルートの候補が4案検討されており、蘇氏はルートの早期決定を求めた。林佳龍交通部長(交通相)は同日、今月末にルート候補案の2次審議を行うと明らかにした。
4案は、現在の南の終点、左営駅(高雄市)と屏東市を結ぶ「左営ルート」▽高雄市燕巣で途中分岐し、屏東市までつなぐ「燕巣ルート」▽左営駅から台湾鉄路管理局(台鉄)高雄駅を経由して屏東市まで延伸する「高雄ルート」▽左営駅から高雄国際(小港)空港を経由して屏東県潮州まで延ばす「小港潮州ルート」。このうち、高雄ルートは地下化、残る3ルートは高架線路を採用する計画。
総工費は概算で、燕巣ルート561億台湾元(約1930億円)、左営ルート554億元(約1904億円)、高雄ルート1217億元(約4182億円)、小港潮州ルート1500億元(約5160億円)。
蘇氏はこの日、屏東市内で高鉄延伸を発表した。屏東県出身で、同県県長を務めた経験がある蘇氏は個人的な意見として、屏東延伸ルートが左営を通過しないのは違和感があるとし、立ち退きが必要な民家が少なく、総工費も比較的安い左営ルートのメリットを説明。一方、高雄ルートと小港潮州ルートは総工費が高く、立ち退きが必要な民家も多いとし、ルートを審議する際には将来の国際競争力や施工の難易度を考慮に入れるよう審査委員に求めた。
高鉄は同日、屏東延伸の発表について、ルート評価や予算編成、財務計画、建設方法などはいずれも不確定性が高いとし、コメントはできないとした。
(郭シセン、韋枢/編集:名切千絵)