蔡英文総統が米国のマッカーシー下院議長とカリフォルニア州で会談予定

 米国連邦議会の下院議長は、大統領権限の継承順位が副大統領に次いで2位の要職。1月7日、この要職に「共産主義中国を信頼する時代は終わった」とする共和党のケビン・マッカーシー氏が就任し、今春にも訪台すると報じられていた。

 しかし、本誌でも米国の元外交官でワシントンのシンクタンク「民主主義防衛財団(FDD)」の中国問題担当上級研究員をつとめるクレイグ・シングルトン氏が「マッカーシー氏が今年訪台すれば、2024年の台湾総統選挙に想定外の影響を及ぼす恐れがある」として、蔡英文総統を米国に招いて米連邦議会議事堂で演説してもらおうと提案したように、バイデン政権も台湾側も、ペロシ下院議長の訪台よりも情勢が不安定化するとしてマッカーシー下院議長の訪台には難色を示したようだ。

 そこで、中米のグアテマラとベリーズを訪問する経由地としてカリフォルニア州に立ち寄る機会を活用することで両サイドが合意したという。

 蔡総統はマッカーシー下院議長の地元でもあるカリフォルニア州のロナルド・レーガン大統領図書館から講演を打診されており、4月にも会談が行われる可能性が高いと報じられている。

 米国下院の「米中戦略競争特別委員会」(米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会)の委員長に就任したマイク・ギャラガー氏(共和党)は、台湾での公聴会開催を提起している。

 そもそも、この米中戦略競争特別委員会はマッカーシー下院議長の提唱によるものだ。中国がもたらす深刻な脅威に対抗するため、台湾への支援を強めたいという意向で設置された。台湾で米中戦略競争特別委員会の公聴会が開かれれば、マッカーシー下院議長の訪台もありうる。

—————————————————————————————–米下院議長、カリフォルニア州で台湾総統と会談 4月の公算=関係筋【ロイター:2023年3月6日】

 [ワシントン 6日 ロイター] – マッカーシー米下院議長(共和党、カリフォルニア州選出)が数週間以内に台湾の蔡英文総統と米カリフォルニア州で会談する予定であることが分かった。2人の関係筋がロイターに語った。

 関係筋によると、蔡総統は中米訪問に向け乗り換えで立ち寄るカリフォルニア州のロナルド・レーガン大統領図書館から講演を打診されており、米国内で会談が行われる可能性が高いという。

 関係筋の1人によると、会談は4月に実現する公算が大きい。ただ、マッカーシー氏が将来的に台湾を訪問する可能性は必ずしも排除できないという。

 米国での会談について最初に報じた英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、中国の反発を回避するため蔡総統がマッカーシー氏を説得。台北ではなくカリフォルニア州での会談を要請したという。

 今回の会談計画が、中国の反発を避けるためのものかどうかを含め、マッカーシー氏の事務所からはコメントを得られていない。

 マッカーシー氏は6日に行ったCNBCとのインタビューで、台湾を訪問するかどうかについてはコメントせず、計画があれば発表すると応じるにとどめていた。

 マッカーシー氏は昨夏、下院議長に選出された場合に台湾を訪問する意向を公言していた。

 在米ワシントンの台湾連絡事務所はロイターに対し、会談に関し「共有できる情報はない」とし、「蔡総統による外交的同盟国への訪問や米国での乗り継ぎに関する準備は通常の慣例に従って行われる」と応じた。

 在ワシントン中国大使館およびロナルド・レーガン大統領図書館からはコメントを得られていない。

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