蔡英文総統がチェコ次期大統領選のパベル氏と異例の電話会談

 本誌前号で、1月28日に行われたチェコ共和国の大統領選において、元北大西洋条約機構(NATO)で軍事委員長をつとめ、ウクライナへの積極支援や台湾の民主主義支援を主張してきたペトル・パベル氏が当選したことをお伝えした。

 台湾の蔡英文総統は28日夜、「チェコは大統領選を無事に終え、民主主義の発展プロセスに新たなチャプターを記した」としてパベル氏に祝意を表したという。

 ここまでは、友好的な国家に対してどの国でも行っていることだが、蔡総統は30日になってパベル氏と15分の電話会談を行ったそうだ。異例のことだ。

 米国のトランプ氏が2016年11月に大統領に当選した際にも、蔡氏は12月2日に電話で祝意を伝えていたことを思い出す人も多いだろう。台湾の総統と米国の大統領または次期米大統領との間で電話会談が行われたのは、米国と台湾が断行して初めてのことだった。

 蔡総統が元首である次期大統領と電話会談を行ったのはトランプ氏に次いで2度目だと、台湾の中央通信社は伝えている。

 台湾とチェコの関係はよい。Taiwan Today誌は「チェコ政府は昨年発表した『施政綱領』(Policy Statementof the Government)の中で、台湾を『インド太平洋地域で協力していく重点国家』と位置付けた。さらにその後打ち出したインド太平洋戦略では改めて、台湾を『今後インド太平洋政策に取り組んでいく上での主要なパートナー』とし、これからも台湾をはじめとするインド太平洋地域の民主的なパートナーとの協力ならびに交流を深めていくと宣言。あわせて台湾海峡の情勢と南シナ海問題にも引き続き関心を寄せていく方針を示した」と報じている。

 本誌でもお伝えしたように、チェコは首都プラハ市が台北市と2020年1月に結んだ友好都市協定により、ヨーロッパ各国が台湾との関係を強化し、中国と距離を置くようになったきっかけを作った国だ。

 米国との異例の電話会談は、トランプ時代の米国が台湾との関係強化に舵を切ったのと同じように、今回の電話会談も、チェコのみならず、さらにヨーロッパ各国が台湾との関係を強めるきっかけになるかもしれない。

—————————————————————————————–蔡総統、チェコ次期大統領と電話会談 パートナー関係深化に意欲【中央通信社:2023年1月30日】https://japan.focustaiwan.tw/politics/202301300005

(台北中央社)蔡英文(さいえいぶん)総統は30日、チェコ大統領選で当選したペトル・パベル元北大西洋条約機構(NATO)高官と電話会談した。蔡氏はパベル氏の当選を祝うとともに、台湾とチェコが今後も引き続き緊密なパートナー関係を推進できるよう期待を寄せた。パベルは台湾は信頼できるパートナーだと強調。各分野における相互交流の強化を歓迎する姿勢を示した。

 蔡氏が外国の元首と電話会談を行ったのは2度目。ドナルド・トランプ氏が2016年に米大統領に当選した際にも、蔡氏は電話で祝意を伝えていた。

 近年、台湾との関係強化を図っているチェコ。昨年には双方の窓口機関が半導体や教育などの分野での協力に関する覚書に調印した他、議会上院が台湾の国際機関参加を支持する決議を採択するなどした。

 総統府の林聿禪(りんいつぜん)報道官によれば、会談は約15分間行われ、呉●燮(ごしょうしょう)外交部長(外相)も通話に加わった。(●=金リ)

(?貴香/編集:荘麗玲)

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