米国の上院外交委員会が大幅な台湾支援策を盛り込む「台湾政策法」を可決

 9月14日、米国連邦議会の上院外交委員会は「台湾政策法(Taiwan Policy Act of 2022)」が賛成17人、反対5人の賛成多数で可決。

 下記の中央通信社の記事によれば、法案は、台湾に対して5年間で65億米ドル(約9330億円)にものぼる「無償の軍事援助」を行うこととするなど、米国の台湾支援政策を大幅に向上させる内容で、中華人民共和国が国連安全保障理事会の5つの常任理事国の1つであることを承認し、蒋介石の代表を国連から追放するとした1971年10月25日採択の「アルバニア決議」にも触れているという。

<法案は、6月の提出時から内容が一部修正された。駐米代表処(大使館に相当)の名称変更に関する部分が提言的な表現に変更された他、米国の対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)台北事務所所長(大使に相当)の任命に米上院の同意を必要とする項目が削除された。

 また、台湾に「北大西洋条約機構(NATO)非加盟の主要な同盟相手」(MNNA)の地位を与える要求が削除され、代わりに「MNNAと同等の形で台湾を扱う」と変更された。一方、今後4年間で45億米ドル(約6460億円)の軍事支援を台湾に提供する内容は維持され、その上で「無償の軍事援助」とすることが明記された。さらに追加で5年目に20億ドル(約2870億円)の資金を提供する内容も盛り込まれた。

 外交に関しては、連邦政府機関内で中華民国(台湾)の旗や軍服を見せることを禁じる内規の廃止を国務長官に求める内容が残された他、国連における中国代表権問題に関わる「アルバニア決議」について、同決議は台湾の代表権問題を処理しておらず、台湾の主権に関するいかなる声明も含まれていないとの立場が示された。>

 法案を提出したのはロバート・メネンデス上院外交委員長(民主党)とリンゼー・グレアム上院予算委員(共和党)の2人で、今年の4月14日に上院の厚生・衛生,教育・年金委員会会長のリチャード・バー議員(共和党)、同じく上院の国土安全委員会会長のロブ・ポートマン議員(共和党)、ベン・サッス上院議員(共和党)、ロニー・ジャクソン下院議員(共和党)の6人で訪台、蔡英文総統などと会談している。

—————————————————————————————–台湾支援強化へ強硬姿勢 米上院委、超党派で法案可決─バイデン政権、対応苦慮も【時事通信:2022年9月15日】https://www.jiji.com/jc/article?k=2022091500168&g=int

 【ワシントン時事】米上院外交委員会は14日、台湾への軍事支援を大幅に拡大する「台湾政策法案」を賛成多数で可決した。成立には上下両院本会議での可決と、大統領の署名が必要。米議会が超党派で台湾支援強化に向けた強い姿勢を示した形で、米中対話を模索するバイデン政権は難しい対応を迫られそうだ。

 ペロシ米下院議長による8月の訪台に反発した中国は、台湾への軍事的圧力を強め、米国との対話の窓口も閉ざしている。バイデン政権は台湾への軍事的威嚇をけん制する一方、「一つの中国」政策を堅持する姿勢もたびたび表明。不測の事態を避けるための対話維持を目指しており、法案が中国側に誤ったメッセージを送ることを懸念している。

 法案は、台湾軍の装備や訓練などの強化を目的とした4年間で総額約45億ドル(約6400億円)の軍事支援のほか、最大20億ドル(約2850億円)の財政援助を規定。台湾を北大西洋条約機構(NATO)非加盟の「主要同盟国」に指定することも盛り込み、米台間の軍事協力強化をうたっている。台湾侵攻の動きがあれば、中国共産党幹部らに制裁を科すことも明記した。

 親台湾派とされるメネンデス上院外交委員長(民主)は委員会で「頼れる抑止と台湾海峡の安定維持を望むなら、現状を自覚すべきだ」と述べ、台湾への軍事的圧力を強める中国に警戒感を示した。「米国は戦争を望んでいない」とも語り、緊張を激化させているのは中国だとの認識を強調した。

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