米国から今年7回目の議員団、フランスからも今年2回目の議員団が同時訪台

 米国アリゾナ州のダグ・デューシー知事率いる訪台団は、8月だけで5度目の米国からの要人訪問だった。アリゾナ州知事一行が9月1日に離台した翌2日に米国は、バイデン政権で最大規模となるミサイル早期警戒レーダーシステムや地上配備型対艦ミサイル「ハープーン」など11億ドル(約1530億円)規模となる6回目の武器供与を発表した。

 武器供与の余波がまだ残る9月7日、今度は米国下院軍事委員会のメンバーであるステファニー・マーフィー議員(民主党)率いる8人の議員団が訪台した。8人は「民主党、共和党の両党議員が含まれるほか、それぞれ『軍事』、『外交』、『歳出』など重要な委員会に所属している。いずれも台湾に友好的な議員」だとTaiwan Today誌は伝え、9日まで滞在する予定だという。

 8日には蔡英文総統と会談、米国議会は台湾とのFTA(自由貿易協定)の締結を推進すべきだという考えを示している。また、台湾の立法委員8人と「台湾海峡の情勢、台米間の軍事交流、武器売却、エネルギー、人身取引、アメリカ上院が審査する『台湾政策法案(Taiwan Policy Act of 2022)』、『21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ』などの議題について幅広く意見交換」(Taiwan Today)したという。

 Taiwan Today誌はまた「今年に入ってからアメリカの議員団が台湾を訪れるのは7回目、計28人となる。内訳は上院議員が9人、下院議員が19人。民主党が14人、共和党が14人」と伝え、時事通信も「今年に入り台湾を訪れた米議員は9月7日時点で計28人に上る。米ブルームバーグ通信の集計によると、1年間に台湾を訪問した米議員数としては既に2013年以降の最多となっている」と報じている。

 このマフィー議員団と同じ9月7日に訪台したのが、フランス元老院(上院)のシリル・ペルバ(Cyril Pellevat)議員が率いる外交・国防委員会副委員長や法制委員会副委員長を含む超党派議員団5人。

 今年、フランスの議員団が台湾を訪問するのは6月のゲリオ上院外交国防委員会副委員長らの代表団に続き2度目で、Taiwan Today誌は「仏議員団の台湾訪問は過去1年で、上院議員団(2021年10月と2022年6月)、下院議員団(2021年12月)に次いで4回目」となると伝えている。

 12日までの滞在中に頼清徳・副総統や游錫●・立法院長、監察院の陳菊・院長、関係省庁の長と会談するほか、歴史的建造物を訪問する予定だという。(●=方方の下に土)

 ちなみに、日本の日華議員懇談会(古屋圭司会長)10月8日から10日まで20人ほどで訪台し、10日の国慶節を祝う行事への参加を予定している。また、米国からはポンペオ前国務長官が今年2度目の訪台を予定し、ドイツ、英国、カナダの議員も台湾を訪れる予定となっている。

 米国からの要人訪台が突出しているが、G7加盟国を中心とした政治家の台湾訪問は中国をいら立たせているようだが、台湾を威圧する中国への抑止効果をもたらすとともに、自由、民主、人権、法の支配などの価値観を共有する国々の連携作用ももたらし、「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に寄与しているようだ。

—————————————————————————————–米下院軍事委員会ステファニー・マーフィー議員が率いる8人の議員団、台湾を訪問【Taiwan Today:2022年9月8日】https://jp.taiwantoday.tw/news.php?post=224726&unit=149&utm_source=Taiwan+Today+JP+9&utm_medium=email&utm_content=%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9+textlink

 アメリカ下院軍事委員会のメンバーであるステファニー・マーフィー議員が率いる8人の議員団が7日、台湾を訪問した。9日まで滞在する。構成員はステファニー・マーフィー議員のほか、スコット・フランクリン議員、カイ・カヘレ議員、ジョー・ウィルソン議員、アンディ・バー議員、ダレル・アイサ議員、クラウディア・テニー議員、カット・キャマック議員。いずれも下院議員。中華民国(台湾)外交部の田中光政務次長(=副大臣)が台湾桃園国際空港(台湾北部・桃園市)へ赴き、中華民国政府を代表して一行を歓迎した。

 この訪問団は、アメリカの第117議会が始まって以来、最大規模の下院訪問団となる。一行は台湾滞在期間中、蔡英文総統を表敬訪問するほか、国家安全会議の顧立雄秘書長と会談する。また、外交部の呉?燮部長(=外相)が主催する食事会に参加し、台米関係や地域の安全保障、経済・貿易などの問題について踏み込んだ意見交換を行う。

 マーフィー議員は台湾海峡を取り巻く安全保障に高い関心を寄せており、今年7月には台湾に対して防衛のための武器貸与を許可するよう米政府に求める法案「Taiwan Democracy Defense Lend-Lease Act」を与野党議員と共に提出した。また、2023会計年度(2022年10月-2023年9月)の国防予算の大枠を決める国防権限法案(NDAA)の審議においては、台湾に有利になるような修正を求めた。今回の訪問団は、民主党、共和党の両党議員が含まれるほか、それぞれ「軍事」、「外交」、「歳出」など重要な委員会に所属している。いずれも台湾に友好的な議員で、国会では台米関係の向上、台湾を取り巻く安全保障の強化、台湾との経済・貿易協力の増進、米国最初の新型コロナウイルスワクチンの供与先に台湾を加えること、WHO(世界保健機関)を含む国際組織への台湾の参加を求める議案や連名書簡などを提出してきた。このことからも、今回台湾を訪れた議員団がどれだけ積極的に台湾を支持してきたかがうかがい知れる。

 今年に入ってからアメリカの議員団が台湾を訪れるのは7回目、計28人となる。内訳は上院議員が9人、下院議員が19人。民主党が14人、共和党が14人。中国の無責任な軍事的挑発によって地域の緊張が高まる中、アメリカ連邦議会が再度大型の議員団を派遣することは、与野党問わず台湾を強く支持する姿勢を示すものである。

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