米国と台湾は9月17日、インド洋・太平洋地域と中南米のインフラ建設計画や対米州投資に共同で参加し、実質的なパートナーシップの深化を目指す協力枠組みを締結し、30日、米国在台協会のクリステンセン所長や呉[金リ]燮・外交部長らが記者会見を開いて発表した。
中央通信社によると「中華民国(台湾)が米ワシントンに置く駐米台北経済文化代表処(大使館に相当)の薛美瑜公使と、米国の対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)のイングリッド・ラーソン執行理事が現地時間17日に署名した」という。
今後「米財務省と台湾の外交部(外務省に相当)が作業部会を設置し、官民共同のインフラ投資を特定・促進する」とロイター通信は報じている。
米台は政府高官レベルの交流を深める中、今度はインド洋・太平洋地域と中南米においてインフラ建設計画を進めるというのだから、呉外交部長が述べたように「台湾と米国の協力関係が一段階上がった」ようだ。
これまで中国は、インド洋・太平洋地域と中南米に位置する台湾と国交を結ぶ国々をターゲットとして、次々と国交を断絶させている。中南米ではパナマ共和国(2017年6月13日)、ドミニカ共和国(2018年4月30日)、 エルサルバドル共和国(2018年8月21日)の3ヵ国、大洋州ではソロモン諸島(2019年9月16日)、キリバス共和国(2019年9月20日)の2カ国だ。
すでに米国では本年3月26日、台湾に不利となる行動をとった国に対し、外交関係のレベルの引き下げや、軍事的融資などの支援の一時停止または変更などの措置をとる権限を国務省に与える内容の「台北法」(台湾同盟国際保護強化イニシアチブ2019年法)が成立している。
今度は不利をこうむった台湾と共同でインド洋・太平洋地域と中南米においてインフラ建設計画を進めるという。いわば「失地回復」を図ろうという計画だ。作業部会が今秋に第1回会合を開くとも報じられている。今後の行方に注目したい。
—————————————————————————————–米国と台湾が共同インフラ計画、中国の一帯一路に対抗【ロイター通信:2020年10月1日】https://jp.reuters.com/article/taiwan-diplomacy-usa-idJPKBN26L3B7
[台北 30日 ロイター] 米国と台湾の当局者は30日、両国がインド洋・太平洋地域と中南米のインフラ計画で協力すると述べた。中国の広域経済圏構想「一帯一路」に暗に対抗した形だ。
一帯一路は中国を欧州とアジア、その他の地域をつなぐために、道路や鉄道、施設を建設する計画。米国は、中国が「債務のわな」に各国をはめる策略だという疑念を抱いているが、中国はこれを否定している。
台湾にある米国の代表機関で、事実上の大使館である米国在台協会(AIT)は米国と台湾の新たな計画が「新興国における高品質なインフラ」を支えると説明。台湾の呉[金リ]燮(ジョセフ・ウー)外交部長は、今回の計画が米国のインド洋・太平洋戦略と台湾の新南向政策と合致すると述べた。新南向政策は、中国依存を改め東南アジア・南アジアを重視する政策。
ウー氏は「台湾と米国の協力関係が一段階上がった」と強調。計画に投じる金額の規模や投資計画の詳細はすぐには明らかになっていない。
計画の下、米財務省と台湾の外交部(外務省に相当)が作業部会を設置し、官民共同のインフラ投資を特定・促進する。
AITのクリステンセン所長(大使に相当)は計画について、インド洋・太平洋地域で、より力強い供給網を促進する枠組みになるとし、作業部会が今秋に第1回会合を開くと述べた。
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