「台湾の声」
民主進歩党(民進党)の蔡英文主席は5月25日、「中華民国は亡命政府」との考
えを表明した。
蔡主席は、「中華民国」は亡命政府であり、「中華民国」による台湾の統治は、
強権体制と中国的なもので、中国文化や中国語が台湾で強大な力を持つようにな
り、以前は中国的なものが主体で、台湾的なものが客体となっていたが、台湾主
体意識の高まりで、主客が入れ替わったとの認識を語った。
これに対し、馬英九政権の行政院は「中華民国は主権独立国家であり、99年間存
在している。中華民国の存在は疑う余地がない」と反論。総統府も「自国を貶め
るもので、国家主権を否定する失言だ」と蔡主席の発言を批判した。与党の中国
国民党からも、「民進党は中華民国政権を認めないのか?認めないなら過去8年
間の民進党政権は何だったのか?」「中華民国、(中華民国)国旗は台湾社会の
最大公約数だ」などの強い批判が噴出した。
しかしながら、馬総統は「中華民国=中国」を主張し、中華民国国旗は1949年ま
での中国国旗であることから、「中華民国」は台湾社会の最大公約数とはいえな
い。「Yahoo!奇摩」が行ったインターネットアンケートでも、「中華民国は亡命
政府か?」との問いに「そう思う」が66%、「そう思わない」は32%だった(5/26
の時点)。
民進党の蕭美琴・国際部主任は、蔡主席の発言の真意について、1949年に中華民
国亡命政府が台湾にやってきた後、台湾の主体性が捻じ曲げられ、国民アイデン
ティティーが圧迫されたことから、国民党政府は台湾主体性の再建の課題に真剣
に取り組むべきであり、また、台湾人の長い民主化の過程により亡命政権の強権
統治は終焉し、国民主権が実践され、現在の憲法上は「中華民国」となっている
が、今後の台湾は民族の多様性のある主権独立の憲政民主国家を目指すべきであ
るとの主旨を説明した。