米国からグラム上院議員団長の超党派議員団6人が台湾を訪問

 4月10日、スウェーデン国会「台湾・スウェーデン議員協会」会長のボリアナ・オーベリ氏と欧州議会議員のシャーリー・ベイメシュ氏を共同団長とする「スウェーデン議会と欧州議会の議員による合同台湾訪問団」一行11人が訪台し、12日に蔡英文総統とオンラインで会談するなどして14日に帰途についた。

 すると今度は入れ替わりに、14日から米国のリンゼー・グラム上院議員(共和党)を団長としロバート・メネンデス上院外交委員長(民主党)らが参加する超党派議員団6人が訪台した。

 4月4日に昼食会をともにした親族の中にコロナの陽性者がいたため、濃厚接触者として14日まで総統官邸で隔離生活を送っていた蔡英文総統は15日から執務をはじめ、この日午前、総統府で米国議員一行の表敬訪問を受けたそうだ。

 米国は4月5日、パトリオット防空システムの運用や維持などに関する技術支援、関連の装備品など、バイデン政権下では3度目の台湾への武器供与を発表。また、ナンシー・ペロシ下院議長が4月10日から訪台予定だったが、コロナ感染が判明、訪台を中止している。

 現職の下院議長の台湾訪問が実現していれば1997年以来25年ぶりのことになったそうだが、加えて、リンゼー・グラム議員などの訪台だ。この一事をみてもバイデン政権が台湾との関係をトランプ政権並みに強化していることは明らかだ。

 それは、NHKニュースが「メネンデス上院議員は『台湾は先端半導体の生産シェアで世界の90%を占め、重要性のある国だ』と述べ、アメリカと外交関係のない台湾を『国』と呼びながら、台湾へのアメリカの関与を深める必要性を強調しました」と報じているように、メネンデス上院外交委員長が台湾を「国」(Country)と呼んだことにもよく表れている。

 メネンデス上院外交委員長は去る2月、ワシントン駐在の台湾代表部の名称を「台北駐米経済文化代表処」の名称を「台湾代表処」への変更することを論議すべきだという法案を提出している。これまでも「台湾旅行法」や「2019年版台湾保証法案」「台北法:台湾同盟国際保護強化イニシアチブ2019年法」など数多くの法案提出に関わっている民主党議員だ。

—————————————————————————————–蔡・総統、米上下院議員訪問団の表敬訪問受ける【台湾国際放送:2022年4月15日】https://jp.rti.org.tw/news/view/id/95108

 アメリカ上院予算委員会の共和党トップ、リンゼー・グラム(Lindsey Graham)議員率いるアメリカ連邦議会の有力な国会議員から成る訪問団一行6人が14日から15日までの日程で台湾を訪問しています。

 濃厚接触者とされ、15日に自宅執務を終えたばかりの蔡英文・総統は午前、総統府で一行の表敬訪問を受けました。蔡・総統はあいさつの中で、この訪問団はアメリカ議会の上院、下院を超えただけでなく、アメリカの二大政党の議員も含まれている。これは、台湾がアメリカの超党派議員の支持を受けていることを示しているとし、訪問団一行の長期にわたる台湾へのゆるぎない支持、台米関係の促進に感謝すると共に、一行はみな台湾の良き友人だと称えました。

 蔡・総統はまた、ロシアによるウクライナ侵攻は、民主国家が同盟関係を強化し、共に権威主義国家による地域の平和への妨害と脅威に向き合う必要性を浮き彫りにしていると指摘、ここ数年、台湾とアメリカは、「グローバル協力訓練枠組み(GCTF)」と「インド太平洋地域の民主的統治協議(Indo-Pacific Democratic Governance Consultation)」などの対話メカニズムを通して共にインド太平洋地域で民主、「グッド・ガバナンス(good governance:良い統治)」、および人権などの価値を推進していると説明しました。蔡・総統は、台湾がさらに積極的な役割を果たし、共にインド太平洋地域の平和と繁栄を維持するよう努力すると期待を寄せました。

 蔡・総統は、「台湾は、アメリカのインド太平洋地域における最も堅実なパートナーだ。新たなインド太平洋戦略でより積極的な役割を果たしたい。アメリカなど理念の近い国々と共に、インド太平洋地域の平和と安定を維持していきたい。そのほかに台湾は、アメリカと共にインド太平洋地域における経済・貿易の交流と協力を促進していきたい。この地域により多くの繁栄をもたらしたい」と意気込みを見せました。

 グラム議員は、あいさつの中で、今回の訪問は、台湾に対する支持と情熱を表明するためだとし、台湾に対する中国の挑発行為が威圧行為へとエスカレートする中、台湾を放棄すれば、自由、民主主義、自由貿易を放棄するのに等しい。これは全人類にとって非常に遺憾なことになる。経済面において台湾は、全世界とアメリカにとってデジタル関係で必要不可欠なパートナーだ。アメリカ人は、台湾の重要性がよく分っていると説明しました。

 グラム議員は、「テレビでウクライナのことを見たとき、心を痛めた。アメリカ人はアメリカにとって台湾がいかに重要かということを十分理解している。これを皆さんに伝えたい」と述べました。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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