八田の功績を顕彰しつづけてくれていたお蔭で、それが日本に広まり、今では中学校の教
科書にも八田與一が登場するようになっている。日台の絆を象徴する出来事といってよ
い。
このたび、外代樹(とよき)夫人の銅像が烏山頭ダムの畔に建立されたという。この銅
像は日台共同で制作したそうだ。さらに「日台の絆の物語」に後日譚が追加されて語り継
がれていく。
烏山頭ダムを建設した八田與一氏の夫人の銅像が披露
【台湾週報:2013年9月2日】
http://www.taiwanembassy.org/JP/ct.asp?xItem=417388&ctNode=1453&mp=202
戦前、台湾南部の嘉南平野で10年の歳月をかけて烏山頭ダムと嘉南大圳(クリーク)を
完成させた日本人技師、八田與一氏の夫人である八田外代樹さんの銅像が、八田與一紀念
パークで建立され、外代樹夫人の命日の9月1日に除幕式が行われた。
これは台南市の「八田與一文化芸術基金会」と八田氏の出身地、金沢市の「八田技師夫
妻を慕い台湾と友好の会」が共同で夫人の銅像建設委員会を作り、日本人彫刻家、村井良
樹氏に委託し制作されたもの。銅像は完成後に烏山頭ダムの近くにある八田與一紀念パー
クに運ばれ、同パークに復元された八田氏の住んでいた官舎に設置された。
日本から約250名が参加したこの日の除幕式には、八田與一氏の長男夫人である八田綾子
さんも出席した。披露された銅像は、外代樹夫人が四女の嘉子さんを抱いている姿であ
り、これは当時八田氏一家の家族写真の一部を再現したものである。
除幕式に出席した李嘉進・亜東関係協会会長は、あいさつの中で「八田與一氏が建設し
た烏山頭ダムは、嘉南平原を穀倉地帯へと変えた。外代樹夫人は八田與一氏の成功を影で
支えた偉大な女性である。台湾人は八田氏の精神を忘れることはない。今後も日本との友
好関係を末永く維持し、共に努力していきたい」と述べた。
頼清徳・台南市長は、「外代樹夫人の銅像が設置され、八田與一紀念パークはより一層
整った。この銅像が、台南市と日本の各都市との友好のつながりとなり、良好である台日
関係が、さらに強化されるよう願っている」とあいさつした。
1901年生まれの外代樹・夫人は、1917年に八田氏と結婚後、台湾で生活した。1942年に
八田氏は南方に出征する途上、乗船した船が撃沈され戦死した。日本の敗戦後、台湾在住
の日本人は日本へ引き揚げなければならなくなり、外代樹夫人は烏山頭ダムの着工記念日
にあたる9月1日を選び、烏山頭ダムの放水口に身を投げてその生涯を閉じた。