幹男(ぬまた・みきお)代表は8月20日、ホームページで着任挨拶を発表された。とても重要な内
容も含まれているので、下記にその全文を紹介したい。
なにが重要かというと、実はこれまで、国交のない日本と台湾の間では税金の二重課税の問題が
あった。それが最大の障壁だと言われてきた。
樽井代表のときからこの問題を打開すべく取り組んできていて、沼田代表はあいさつの中で「日
台間の二重課税の回避及び脱税の防止を目的とした枠組み(日台租税枠組み)についての協議も開
始しております」と述べている。恐らく、この問題について交流協会台北事務所代表が公の場で述
べたのは初めてのことだろう。
沼田代表の着任翌日の7月23日には復興航空機の墜落事故が起こり、8月1日には高雄市ガス爆発
事故が起こるなど、そのたびに馬英九総統などへお見舞い状を送るという慌ただしい日々だったと
思われる。ようやく落ち着いてきた8月22日、沼田代表は着任挨拶のため馬総統を訪問、一連の着
任挨拶は滞りなく終わった模様だ。
今後、沼田代表には「日台租税枠組み協定」の締結に向け邁進していただきたい。この協定は実
質的に自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の中核を為すと言われている。つまり、
この問題の解決は実質的に日本は台湾とFTAおよびEPAを締結した状態を意味しているとい
う。
沼田幹夫代表挨拶
【交流協会台北事務所:2014年 8月 20日】
皆様こんにちは! 7月22日、当地に新しく着任しました日本交流協会台北事務所代表の沼田幹
夫です。今回ようやくご縁があり、約40年前に初めて台湾を訪問して以来長らく勤務したいと希望
していた台湾でようやく勤務する機会を頂き、心より嬉しく感じております。
私は、感謝の念をもって当地に着任しました。私の出身地である茨城県は、3年前に発生した東
日本大震災の被災地の一つでもあります。東日本大震災に際しましては、台湾の皆様から物心両面
における友情溢れる破格のご支援を頂き、この場をお借りしまして、改めて心よりお礼申し上げま
す。
着任後、半月が過ぎましたが、お会いした台湾の方々は、大変立派な方が多く、いつも頭が下が
る思いでお話を伺っております。また、バスやMRTに乗る度に、お年寄りに席を快く譲る若者の
姿を見かけ、市民社会の成熟ぶりに感動させられます。更に、少なからず訪問した台北市内の殆ど
の場所は、大都市であっても緑が豊かであり、そしてなにより牛肉麺をはじめとした食事が大変お
いしいと感じました。
台湾は、日本にとって災害発生時の相互支援やスポーツ交流時の相互支援に見られるように心と
心が繫がった極めて重要なパートナーです。台湾の皆様は真の友人であり、私は、そして日本人は
このご恩を決して忘れません。
近年、日本と台湾の関係は、様々な分野において大きな発展を遂げています。特に、昨年4月、
日台間の長年の懸念であった「日台漁業取決め」に署名したことに加え、経済分野においても、昨
年は「日台電子商取引取決め」をはじめとする6本の取決め、覚書に署名したほか、在台湾日本企
業からの要望も多い、日台間の二重課税の回避及び脱税の防止を目的とした枠組み(日台租税枠組
み)についての協議も開始しております。また、日台産業協力架け橋プロジェクトの具体的事業の
実施や日台連携による第三国市場協力の推進など、日台関係が幅広い分野で着実に進展していま
す。
また、オープンスカイを受けて人的往来も益々増加しており、2年連続で過去最高を記録し、昨
年日台間の往来は初めて300万を突破。今年も400万人突破に向けて、順調に拡大しております。
その他、文化交流分野では、昨年の宝塚歌劇団による台湾初公演、日台野球親善試合に加え、今
まさに国立故宮博物院日本展が開催され、数多くの日本人が故宮の極めて貴重な文物を鑑賞するこ
とができる喜びを噛みしめています。
このような状況下、当協会が近年、重点を置いているのが、台湾における日本研究の促進、青少
年交流の促進等、将来の日台関係を担ってくださる若い皆さんへの各種支援です。青少年交流につ
いては、安倍総理の提唱による大規模青少年交流事業「JENESYS2.0」により、昨年は台湾から約
300人の高校生、大学生、大学院生を日本へお招きしました。
今後は、2020年に東京オリンピック・パラリンピックが控えており、日台間の文化、スポーツ等
を通じた交流と相互理解がさらに深まるものと心より期待しています。
そして、これまでの日台交流で献身的に努力頂いた台湾の方々の存在も忘れることはできませ
ん。台湾における外国人叙勲受章者は過去5年で見れば24名であり、全世界で第2位です。これらの
方々をはじめ、日台関係の発展 のために長年にわたり、ご尽力されてこられた方々のご貢献に衷
心より敬意と謝意を表します。
私の当地での仕事は、40年来最も良好と言われる日台関係をさらに一層深化させることです。台
湾の皆様のご協力の下、職員一同積極的に取組んで参りたいと思います。今後とも宜しくお願い申
し上げます。
平成26年8月12日
日本交流協会台北事務所代表 沼田幹夫