を説明する記者会見を開き、10年内に中国との和平協議を行うこともあり得るとの見方を
示した。
馬氏はすでに2008年の総統選挙中に、中国と平和協定を結ぶことを公約としていたので
今さら驚くことでもない。馬氏の総統就任後、連戦氏が早々に中国との平和協定はおろか
軍事協定の締結さえぶち上げていたことに比べれば、慎重とさえ言える。
あまり台湾国内を刺激したくないが、蔡英文・民進党主席が「10年政綱」を発表したこ
とへの対抗策として発表しなければならず、中国には秋波を送っておきたいという思惑な
のだろう。
しかし、台湾が中国におもねて擦り寄るようなこの平和協定締結論は、現状からして「メ
ルマガ台湾の声」が指摘するように、正気の沙汰とは思えない。中国との平和協定の話は
国連加盟を果たしてからで充分なのだ。独立国として正々堂々と中国と国交を結べばよい
のである。
馬氏の選挙参謀で、本誌でも何度か紹介した金溥聰氏が19日から来日している。平和協
定について弁明を繰り返しているようだが、総統選のテーマはやはり台湾と中国の関係で
あることを確認できた。
正気か、台湾と中国の平和協定─国民党訪日団が来日、平和協定に関心集まる
【メルマガ「台湾の声」:2011年10月20日】
ライオンと平和協定を結ぶウサギはその瞬間ライオンの晩餐になります。
「台湾の声」編集長 林建良(りん けんりょう)
10月19日に台湾から中国国民党訪日団が来日した。同訪日団は来年1月の台湾総統(大
統領)選挙で再選を目指す馬英九総統の政策説明と支持を求めるのが目的で、馬総統の選
挙事務を取り仕切る金溥聡「台湾加油讃」執行長、曽永権・行政院副院長(国会副議長)、
国民党立法委員(国会議員)らが同行している。
金溥聡氏は19日午後に早稲田大学で講演し、馬英九総統がいかに行動的友日派であるか
を語り、馬総統は「和中、友日、親米」であり、台日関係は「連日抗中」(日本と組んで
中国に対抗する)や「連中抗日」などの古い考え方を捨てて外的要因の影響を受けない共
栄共利の新思考を構築すべきだと呼びかけた。
このほか最近、馬英九総統が台中“両岸”の「平和協定」を10年以内に進める意欲を表
明したことに関して、金氏は両岸の安定平和の枠組みの提案であり、中華民国憲法下の「不
統、不独、不武」の立場は変わらず、中国統一を進めるものではないと強調した。
「平和協定」については、台湾の野党からの批判のトーンが強くなってきている。民主
進歩党(民進党)総統候補の蔡英文主席は、馬総統が提案した両岸平和協定に関して、「台
湾社会を分裂させ、不安にさせるものだ」と反発し、いかなる協定も「一つの中国」を前
提にしてはならないとクギをさした。台湾団結連盟の黄昆輝主席も、平和協定は「一つの
中国」原則が前提となり、平和協定の名の下の「一中協定」だと批判した。民進党の立法
委員からは、平和協定が「一つの中国」を前提に結ばれれば米国も台湾に武器を売却でき
なくなり、台湾に極めて不利となるとの懸念の声があがっている。