た蔡焜燦・李登輝民主協会理事長の「桜寄贈のお願い」にもつづられていたように、今年
は植物検疫のトラブルに巻き込まれ、寄贈できなかったことは返す返すも残念なことだっ
た。その経緯については、本誌で詳しくご報告している。下記の「今年の桜苗木の台湾寄
贈について」をご覧いただきたい。
また、東日本大震災の影響で国立台北大学で行われた桜植樹式にも参加できなかった。
しかし、この震災によって、台湾と日本の絆がいっそう強まった。来年こそは桜を贈り、
震災への御礼も兼ねて植樹式に参加したい。
実は、産経新聞の台北支局長(現・中国総局長)だった山本勲氏が、本会の桜寄贈につ
いてコラム「台湾有情」で触れてくれたことがある。今年の3月7日付の記事だ。本誌で紹
介できないままになっていたが、11月3日を期して「桜募金」を始めたことでもあり、遅ま
きながらご紹介したい。
山本氏が述べるように、桜を贈り続けていると、台湾の人々が日本人と同じくらいに桜
好きかを実感し、そのたびに「桜をめでる心で日台は深くつながっている」と思う。そし
て「台湾全土を桜色に染めたい」と思うようになる。その桜の下で台湾の人々と一緒に「日
式花見」をしたいとも。
◆今年の桜苗木の台湾寄贈について 日本李登輝友の会【2011/4/13】
http://melma.com/backnumber_100557_5156325/
根付く日本の桜 山本 勲
【産経新聞:平成23(2011)年3月7日「台湾有情」】
1月は台北も40年ぶりの寒さだった。曇天に冷たい霧雨の毎日には気分がめいったが、2
月末から20度を超える晴天の日もあり、急に春めいてきた。そこで地元情報を頼りに新北
市(旧台北県)淡水区を散策したところ、ソメイヨシノの桜並木に出合った。
桜並木は上りの舗装路2キロ弱の両側に数メートル間隔で続く。まだ2メートル前後の小
木が多く満開とまではいかないが、淡いピンクの可憐(かれん)な花々にしばし心を癒や
された。
地元客でにぎわっていたが、小さな花びらを大切な宝のように撮影している若者の姿が
印象的だった。台湾の人々も花好きだが、とりわけ日本の桜は珍重されているようだ。
台湾原生種のヒカン桜はトロピカルな紅色で2月に満開になるが、日本の桜は1カ月ほど
遅い。日本の桜がさらに普及すれば、台湾ではかなり長い間、2つの桜を楽しめることにな
る。
淡水の桜並木は日本の「神奈川東」と「津島(愛知県)」の2つのロータリークラブが
2007年に寄贈したものだった。
この分野の“ご本家”は日本李登輝友の会(小田村四郎会長)で、03年からこれまでに
各地で計4千本を寄贈した。1万本が当面の目標という。桜をめでる心で日台は深くつなが
っている。双方の協力で台湾全土を桜色に染めたいものだ。 (山本勲)