本会理事の南丘喜八郎(みなみおか きはちろう)氏が主幹を務める『月刊日本』5
月号に、メルマガ「台湾の声」編集長の林建良氏(本会常務理事)が「陳水扁総統は『隠
れ統一派』だった」という刺激的なタイトルで寄稿している。
台湾の総統選挙でなぜ民進党候補が大敗したのか、なぜ中国国民党が勝ったのかを、
憲法改正に大きな原因があったことを明かして詳細に分析している。そればかりでなく、
敗因を導いた陳水扁総統がこれまでどのような政策を敷き、どのような発言をしてきた
のかを具体的に指摘し、独立派によるこれまでの「盲目的な陳水扁擁護」を論駁してい
る。
また、中華民国憲法を擁護する謝長廷氏が勝ったとしても、「予算は一文たりとも通
らない」国会状勢では何もできないことを指摘し、「民進党の命拾いにはなるが、台湾
独立の息が完全に消えてしまう」ため、「民進党が負けてよかった」と述べる。
「民進党が負けてよかった」「陳水扁総統は『隠れ統一派』だった」というフレーズ
を目にして、すぐに反発する向きも出てくるかもしれないが、林建良氏の説得力ある指
摘には沈黙せざるを得まい。
では、今後、台湾に残された選択肢は何か。林建良氏は「それは国民党の台湾化」で
あり、それが唯一の選択肢であると剔抉している。ならば、誰が反日色の強い馬英九新
総統並びに新政権に対して「台湾化」を促すことができるのか。
林氏は諄々と「これを馬英九に理解させられるのは、李登輝氏1人だけである。馬が
台日関係を理解できれば、反日の度合いも薄まるであろう。……国民党が反日でなくな
れば、中国との距離も当然遠くなる」と李登輝前総統への期待を述べる。同感である。
昨日のメルマガ「台湾の声」で、林建良氏自ら執筆の意図を説明し、小見出しを掲載
しているので転載してご紹介したい。
この論考は、台湾の独立建国運動に命を懸けた林建良氏の新たな前進に向けた決意の
一文でもある。精読、味読すべき論考である。
(メルマガ「日台共栄」編集長 柚原 正敬)
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■月刊日本
編集・発行人 南丘喜八郎
発行所 株式会社K&Kプレス
〒102-0093 東京都千代田区平河町1-7-3 半蔵門堀切ビル4F
電話:03-5211-0096 FAX:03-5211-0097
e-mail:nippon@mva.biglobe.ne.jp
【4月23日 台湾の声】「月刊日本」陳水扁総統は「隠れ統一派」だった
【編集長より】
民進党の無能と傲慢を肌で感じながらも、我々はそれを応援してきた。
なぜならそれは国民党の中国人体質をそれ以上に嫌悪していたからだ。
民進党はエセ独立派と知っていながらも、その仮面を許した。
それは何時か本物の独立派に変身してくれると期待していたからだ。
しかし、その何れも間違いであった。
情熱と期待だけでは、国を作れないことを身にしみる程思い知らされた。
これからは頭をも働かせるような建国運動を行うことを決意した。
そしてこの文章は、それを表明するためのものである。
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【月刊日本】陳水扁総統は「隠れ統一派」だった・民進党は己の無知と傲慢に負けた
「台湾の声」編集長 林建良(りんけんりょう)
(転送転載自由)
2008年5月号「月刊日本」掲載・書店発売中
定価 650円
出版 K&K プレス
電話 03-5211-0096
メール nippon@mva.biglobe.ne.jp
三月の台湾の総統選挙、独立志向と言われている民進党が大敗し、統一志向と言われ
ている国民党が八年ぶりに政権の座に戻ることとなった。日本の論評を見渡すかぎり、
「台湾人意識より経済」「独立より現状維持」などのような論調が大半であり、台湾の
真実を捕らえない表面的な考察にとどまっている。
どんな戦いでも勝敗の要因は必ず複数あるが、大敗の場合は必ず致命的な要素が存在
する。その致命的要素とは、陳水扁を中心とした民進党政権の無知と傲慢にある。この
致命的要素を見いださない限り、いかなる考察も表面的になってしまうのだ。
・大敗の構造的要素は第七回憲法改正にある
・体制内の独立建国を不可能にした憲法改正
・国民党の勝因はスーパー集票マシンにある
・自ら墓穴を掘った陳水扁の無知
・「対敵人仁慈、対同志残忍」の民進党
・陳水扁は独立志向ではない
・不況をもたらした陳水扁の「対中経済統合論」
・正名も制憲も選挙の道具にすぎなかった
・独立派の旗を取り締った陳水扁
・「そんなことできっこない」
・核心的価値よりも陳水扁擁護の独立派
・「含涙投票」を呼びかける独立派
・民進党が負けてよかった
・謝氏が当選していたらどうなっていたか
・李登輝氏の最後の大仕事
・中国を無害化しなければならない
国民党政権ができて台湾の法理的独立が遠のいたと独立派は危惧しているが、民進党
政権だからといって近づくこともなかった。
台湾の状況に深い関心をもっている日本が、台湾の民主国家としての存続について、
今まで行動で示したことはない。情勢が大きく変わった今、日本が自国も含めた東アジ
アをどうしたいのか、聞いてみたいものである。