湾問題研究所代表、高座日台交流の会事務局長)が、11月6日から自分のブログ「台湾春秋」
でその感想をつづられています。
感想は5回に分けられ、「李登輝さんと夕焼け小焼け」(11月6日)、「李登輝校長修業
式の挨拶から」(11月7日)、「台湾戦後世代の日本観」(11月8日)、「台湾が守るバー
シー海峡の自由航行」(11月9日)「中国は台湾の李登輝に学ぶべし」(11月11日)となっ
ていて、それぞれに的確に研修内容がわかるようになっています。
■ブログ台湾春秋 http://blogs.yahoo.co.jp/kim123hiro/archive/2005/11/6
今回はその2回目の感想をご紹介します。 (編集部)
李登輝校長修業式の挨拶から−台湾李登輝学校研修団感懐(2)
石川公弘
台湾李登輝学校第3回研修団の修業式に当たり、李登輝校長は次のような挨拶をされ、
参加者一人ひとりに修了証を手渡したあと、固い握手を交わされた。(授業の内容はまと
めるのがたいへんなので、簡単なものから先に報告させて下さい)
石川先生、ならびに日本李登輝友の会の皆様、こんにちは。6日間の研修、たいへんご
苦労様でした。今回は日本李登輝学校第3回目の研修ですが、このような台湾現地での研
修を通じて、皆さんの台湾に対する認識が、よりいっそう高まったのではないかと思って
います。
台湾と日本との関係は、歴史的に見ても、地理的に見ても、あるいは安全保障や経済の
面から見ても、さらには両国民の感情の面から見ても、類例がないほど深いものがありま
す。
しかし残念ながら、両国の戦後の国家関係は非常にいびつな関係になっており、そのマ
イナスの影響もあらゆる分野で広がり、それはとても民間交流だけで補えるものではあり
ません。
一番分かりやすい例としては、まず日本李登輝友の会が率先して取り上げ、積極的に取
組んでいる、中学校社会科教科書の地図問題があります。
日本が中華人民共和国と国交を樹立したことに関し、台湾人としては何の異議もありま
せん。ただその際に日本が、「台湾は中国の一部である」との中国の主張を、承認しない
までも、「理解し尊重する」と表明したことについては、やはり受け入れることはできま
せん。
なぜなら、この日本の姿勢は、台湾人民に対しては、理解もしなければ尊重もしないと
いうことを意味するからです。更に文部科学省は、この日本政府のスタンスを一歩踏み込
み、台湾を中華人民共和国の領土とする地図帳の検定を、合格させたのです。
そもそも中国の主張は、善良な人々から財産を強奪することを正当化する、いわば強盗
の主張です。日本政府は、武力で台湾を脅迫し併呑しようとする中国の野蛮行為を、理解
し尊重し、教科書までが「台湾は中華人民共和国の一部だ」と日本人に植えつけようとし
ています。
これは、中国に台湾への侵略を正当化するもので、とても人権、自由、平等を掲げる平
和愛好国家のなすべきことではありません。これは、日本政府の道徳上の汚点と言えない
でしょうか。
真実と誠実を重んじることは、本来日本民族の根底にあるもので、台湾人の親日感情の
原点は、その誠実な国民性に対する憧れとも言えるものです。しかし、台湾を中国の一部
としてしまう教科書は、真実と誠実とはほど遠いものだと言わざるをえません。
もちろん、今の台湾社会も誠実と真実の社会ではありません。第一、中華民国体制を存
続させていること自体が、国際社会にウソをつき続けていることなのです。なぜなら、中
華民国・「リッパブリック オフ チャイナ」自体が、「チャイナ」がついていて、「支那共
和国」になっているのですから。
この虚偽の体制を改めることこそ、我々台湾人の急務であります。我々は中華人民共和
国と対立しているだけでなく、内においても複雑な政治情勢に対処しているのです。この
複雑な現状を、ぜひ理解してください。
今回のような研修で、皆様に台湾の現状がどのようなものかだけでなく、台湾および台
湾人とは、どのような存在であるのか、また本来どのような存在になるべきかを理解して
いただけたら、この上ない喜びです。
台湾も日本も、民族の持つ本来の価値観を大切にしながら、ともに提携して前進できれ
ばと考えています。ありがとうございました。ぜひ、また台湾へおいで下さい。 (文責・石川公弘)