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2011年11月下旬、李登輝元総統は定期検診で大腸癌が見つかり、開腹手術を受けた。
手術は無事に成功し、退院してから半年の静養を経た李元総統は、2012年4月から台湾南部の高
雄と屏東を訪れたのを皮切りに、「生命の旅」と題して台湾の地方を歩いてまわる旅を始めた。
総統退任から十数年が経ったものの、台北を離れてじっくり観察する機会が叶わなかった地方の
様子を自分の目で見て、人々の声を直接聞きながら確かめる必要があったのだという。視察は台東
沖に浮かぶ緑島にまで及んだ。
途中、体調を崩し、動脈へステントを入れる手術をしたこともあって一度は中断したものの、
2013年11月に花蓮港と宜蘭を訪問したことで一応、台湾全国を一周して見てまわったことになる。
この「生命の旅」では、李元総統は農民との対話を重ねたり、学校や福祉施設を視察するなど、
様々な分野に従事する人々の生の声を聞くことに多くの時間を費やした。
それによって、台湾の地方発展における問題はどこにあるのかを見極めると同時に、その問題を
解決する方法と未来の方向性を人々とともに探りたかったのだという。
今般「生命の旅」の全行程を写真と資料で網羅した『生命之旅 李前總統2012-2015 台灣深度
訪察實録?言論集』が、李元総統が董事長を務める李登輝基金会から出版された。
厚さ4センチはあろうかという重厚な一冊だが、ふんだんな写真はもとより、各地方政府の首長
や随行記者などが文章を寄せている。
さらに特筆すべきは、李元総統が2012年から2015年まで発表した論文や、様々な場での挨拶文な
ども収録されていることだ。
これらの中には当然、李元総統が近年一貫して主張している「第二次民主改革」や「台湾の主体
性の確立」なども含まれている。
先月末に李元総統は台北市内で行われた募金パーティの席上、挨拶のなかで「台湾には憲政改革
が必要」と訴えたが、退任してもなお台湾の改革に闘志を燃やす李元総統の信念を垣間見た思い
だ。
定価は600元。目下のところ中国語版のみの出版だが、ふんだんな写真を見るだけでも李元総統
の「生命の旅」の一端に触れることのできる一冊だ。
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