李登輝先生のご回復を祈りつつ研修─第16回李登輝学校研修団報告(3) 浅見 正

今回で16回目を迎えた本会の「台湾李登輝学校研修団」は去る11月3日から7日まで行わ
れた。参加者は26名、団長は新潟県支部幹事で研修団常連の井貝正基(いがい・まさき)
氏、副団長は早大卒業後、英語教師を務めていた浅見正(あさみ・ただし)氏。

 研修に入る直前の11月1日に李登輝元総統が大腸癌の緊急手術を受け、研修生はご回復を
心から祈りつつ諸先生の講義を拝聴し、野外活動に望んだ。本誌12月8日号から浅見氏によ
る「研修団報告」を掲載している。本日はその第3弾。


◆11月5日(土)研修第3日

午前4時ころ起床。軽い防寒着を身につけホテルを出発し、阿里山鉄道祝山線始発駅へ。
5時30発の始発列車に乗り祝山山頂展望台へ向かう。

6時30分、見事なご来光を拝むことができた。しばらくご来光を眺めた後、列車組と徒歩
組に分かれて下山。徒歩組も1時間弱でホテルに戻り朝食。

 10時30分、ホテルを出発、阿里山鉄道の真ん中くらいにある奮起湖という盆地にある小
さな観光地に立ち寄り昼食。その後、周囲の土産物店街を散策。傍らにかつて阿里山鉄道
の駅だったところがきれいに整備されていて、廃車になった機関車なども展示されてい
た。機関車の歯車やピストンなどの動力装置を間近にみると、当時の人たちの逞しさをそ
のまま伝えているようにも見えた。

 午後3時、富安宮義愛公をお詣りする。義愛公とはかつて当地に勤務していた森川清治郎
という日本人巡査だった人。

 巡査としての職務を超え、読み書きを教えたり様々な相談事に応じたりして村民達の信
望を厚くしていたが、税金の値上げ通達が出された際に貧しい村民達の意を汲んで税の減
免を願い出たところ、村民たちの納税拒否を扇動していると受け取られ戒告処分を受けて
しまう。自らの意図を誤解され村民たちの役に立てなかったことを悔いて、間もなく自ら
の銃で自決。後、神として祀られるようになり現在に至る。

 現在、仮の廟に他の神々とともに祀られているが、近くに鉄筋コンクリート製の巨大な
廟が建造中である。

 17:00、嘉義市内のホテル耐瓦王子大飯店にチェックイン。
 17:30、ホテルを出発、台湾高座会聯誼大会前夜祭の夕食会に招待される。

◆11月6日(日)研修第4日

午前9時20分、ホテルを出発し、専用バスで台湾高座会第24回聯誼大会に参加する。今回
の研修2日目、すでに台湾高座会会長の李雪峰先生による講義「台湾少年工と高座海軍工廠」
を拝聴している。高座会の人たちの歩みを知れば知るほど、台湾訪問の意義深さを改めて
実感した。

 午後1時40分、会場内で昼食を頂いた後、名残惜しい気持ちを胸に拍手に送られて退出、
専用バスで台南へ向かう。

 2時30分、飛虎将軍廟を参拝する。飛虎将軍とは旧日本兵杉浦茂峰兵曹長のことで、大東
亜戦争末期に台湾を襲撃してきたアメリカ軍戦闘機に立ち向かい撃墜されたが、部落上に
落下することを避けようと必死に向きを変えた後、パラシュートで脱出を図るも敵機銃掃
射に遭い地面にたたきつけられ死亡。

 終戦後、部落を救った恩人に感謝の念を捧げようという部落民の総意で祠が建てられ「飛
虎将軍」として祀られることになり現在に至っている。廟守により毎朝タバコ7本が点火、
奉納され、朝は「君が代」、午後には「海ゆかば」が歌われているそうだ。私たちが参拝
したときに「海ゆかば」の演奏を流していただくと、研修生の多くが自然に斉唱を始めた。
思わず胸が熱くなる。後ろ髪引かれる思いを抱きつつ、この日の研修を終え高鉄台南駅に
向かった。

 5時15分、高速鉄道に乗り台北へ。7時に台北駅到着。以後、自由行動となる。

 因みに、私は団長の井貝さん、彼の同室の諸橋さん、そしてそこに行くことを念願して
いた藤倉父娘にとともに士林の夜市に出かけた。麺類を食べ、かき氷をつつき、一通り思
いは叶ったが、思いがけない余録もあった。

 私たちが麺を食べていると、隣のテーブルに初老の白人男性がやはり麺類を食していた。
諸橋さんが彼に話しかけた後、私と藤倉父娘も彼のテーブルに移動し尋ねてみると、ニュ
ーヨーク市立大学の英文学の教授で、ルネッサンス期の文学に関する学会に来ているとい
うことだった。日本には行ったことはないがニューヨークに日本人の友人がたくさんい
る、日本にも是非行ってみたいと語った。

 仙台から親子で、それも高校生と中学生の娘さんが参加していた藤倉父娘は、積極的に
質問するなど目を引いていたが、ここでも積極性を発揮し、懸命に英語で話しかけていた。
魅力満載の研修旅行もあと一日を残すのみとなる。

                                   (つづく)


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