李登輝元総統がついに動いた。本日の台湾の全国版7紙(「聯合報」「中国時報」「自由
時報」「アップルデイリー」「工商日報」「経済日報」「台湾時報」)の朝刊に、「台湾
にチャンスを」と題した約1000字の直筆メッセージを掲載、民進党の蔡英文候補支持を明
らかにするという。下記にそれを伝える「中央通訊社」の記事を紹介したい。
中央通訊社の記事では、李登輝事務所では「仮に選挙集会の舞台に立つことができたと
しても5分が限界だろうと話している」ことを伝えているが、他の報道では、体調が許せば
投票日前日の13日夜に応援演説すると伝えている。
なお、昨日、台湾初のノーベル賞受賞者である李遠哲氏をはじめ、台湾の最高学術研究
機関である「中央研究院」院士の陳建仁氏、陳定信氏ら87名の科学関係者が蔡氏支持の声
明に署名した。
李登輝元総統、明日の朝刊広告で蔡英文候補支持訴え
【中央通訊社:2012年1月10日】
(台北 10日 中央社)総統選挙が14日に迫る中、11月に大腸がんの手術を受け自宅療養
中の李登輝元総統(88)が明日の朝刊各紙に半面広告を掲載し、野党民進党の蔡英文候補
(55)への支持を呼びかけることが分かった。
李登輝事務所によると、「給台灣一個機會」(台湾にチャンスを)と題した1000字ほど
の李元総統の直筆メッセージの形で、李氏自身の台湾に対する希望をしたためたものだと
いう。蔡英文候補を推薦し、また蔡候補にも、民主を重んじ、包容力を発揮し、人材を適
切に登用するよう呼びかける。
掲載は「聯合報」「中国時報」「自由時報」「アップルデイリー」の4大紙と、「工商日
報」「経済日報」の経済2紙、南部発行の「台湾時報」の7紙で、いずれも全国版の中面。
投票日まで残すところ4日となり、李登輝氏が公に姿を現し蔡候補支持を呼びかける可能
性もささやかれているが、事務所側では、李氏にその意思はあるが療養中のため何とも言
えないと説明。寒さが厳しいことなどもあり、仮に選挙集会の舞台に立つことができたと
しても5分が限界だろうと話している。
台湾初の民選総統である李元総統は、国民党政権下で民主化を進めた人物として知られ、
1999年には「両岸は特殊な国と国の関係」とするいわゆる「二国論」を打ち出した。2000
年の国民下野後は台湾独立路線を鮮明にし、以後の総統選挙では基本的に民進党を支援し
ている。