マンション「維冠金龍」。すでにマンションの設計や構造に問題がある「手抜き工事」ではないか
と指摘され、建設業者の身柄が拘束されて取調べが行われている。
一方、台湾メディアは地震発生直後から液状化現象による地盤沈下も指摘し、土地価格が下がる
ことを恐れたために公にしなかったのではないかとの指摘も出ている。
李登輝元総統も「土壌の液状化現象の有無についても全面的な地質調査をする必要がある」と指
摘し、「液状化が見られた土壌の場合は建設中止や耐震強度について再度検査する必要性に言及」
されている。本会ホームページから紹介したい。
張善政行政院長は李元総統などからの指摘に応え、2月14日に「関係機関に対し、被害状況を確
認したうえで、1か月以内に、液状化現象の起きるおそれがある地区を公表して、適切な対策をと
るよう指示」したと報じられている。NHKニュースから紹介したい。
立法院でも液状化問題が取り上げられ、民進党の陳亭妃・立法委員と黄偉哲・立法委員は15日、
「台南市で土壌が液状化したエリアの人々が他に住宅を借りて住むため、内政部が6年前の補助方
法を強化して適用するよう求めた」(台湾国際放送)という。
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台湾南部地震に対し李登輝元総統が提言「被災地の全面的な地質調査を」
【本会ホームページ「お知らせ」:2016年2月13日】
http://www.ritouki.jp/index.php/info/20160213/
台湾メディアの報道によれば、6日未明に発生した台湾南部地震に対し、1999年の921大震災で陣
頭指揮をとった李登輝元総統は被災状況や救助活動の進み具合について大きな関心を寄せていると
いう。
地震発生から数日が経過し、李総統は台南市政府による積極的な救助活動を高く評価していると
いう。さらには、すでに台南市政府に対し、救援活動のほか、被災者たちの生活援助や精神的なケ
アも重視するべきと提言を伝えた。
また、李元総統は特に一般的には「見えない部分」について大きな関心を寄せているようで、被
災地域のガスや水道などのライフラインの損傷有無について出来る限りすみやかに検査する必要が
あるほか、土壌の液状化現象の有無についても全面的な地質調査をする必要があると述べている。
さらには、調査終了後は調査結果をすべて公開すべきであり、建設中あるいは新しく建設予定の
ビル・マンションについて、仮に液状化が見られた土壌の場合は建設中止や耐震強度について再度
検査する必要性に言及した。
李元総統は、今回の地震で倒壊した台南市の「維冠大楼」における救助活動はかなり困難が伴う
ことを理解しつつも、今後の予防対策がすみやかに着手されることで、将来同様の事態が発生しな
いことを願っているという。
*台湾国内での報道を本会台北事務所でまとめたものです。
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台湾地震 液状化で地盤沈下相次ぐ
【NHKニュース:2016年2月15日】
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160215/k10010410501000.html
116人が犠牲になった台湾南部の地震で最も多くの被害が出た台南市では、液状化現象による地
盤沈下が相次ぎ、当局が対応に追われています。
今月6日に台湾の南部で起きた地震では、台南市のマンションが倒壊するなどして30人以上の子
どもを含む116人の死亡が確認されました。
さらに、地震のあと広い範囲で、液状化現象による地盤沈下などの被害が相次いでいて地元メ
ディアによりますと、沿海部の地区では、住宅地の地盤がおよそ1メートルにわたって沈み込み、
住宅の1階部分の大半が地中に埋まった状態になっているということです。
この住宅に住む女性は、「こんなことは初めてで、怖いです」と話していて、現場を視察した台
南市の頼清徳市長も、「この家は専門家によって傾きが確認されたが、補強もできないほどひど
い」と被害の深刻さを認めました。
台湾の首相にあたる張善政行政院長が14日、関係機関に対し、被害状況を確認したうえで、1か
月以内に、液状化現象の起きるおそれがある地区を公表して、適切な対策をとるよう指示するな
ど、対応に追われています。