李登輝元総統が「対中平和、親日米」路線を堅持すべきと強調

9月に訪日し講演で台湾の国家目標をくわしく説明

 昨日の本誌で李登輝元総統が6月27日に群策会で行った講演について、台湾国際放送ニ
ュースの「李登輝・元総統:両岸は友人だがけじめが必要」を紹介したが、産経新聞も昨
日、その講演内容を紹介していた。

 「『中国とは平和な関係』を構築する一方、自由・民主・人権の価値観を共有する『日
米との親密な関係』を発展させるよう呼びかけた」という。また、訪日中止となった風邪
による体調悪化から回復されたようで、「『これからは台湾の国家目標をくわしく説明し、
9月には講演で日本を訪問する』と意気軒高だ」とも伝えている。

 李登輝元総統の9月来日を心からお待ちしたい。来日については詳細が分かり次第、本
誌でお伝えしたい。                          (編集部)


李登輝元総統が中道提唱 対中平和・親日米堅持を
【6月30日 産経新聞】
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090629/chn0906291858004-n1.htm

 【台北=山本勲】馬英九政権の急速な対中接近をめぐり台湾の与野党対立が激化する中、
李登輝元総統が先週末に行った講演が関心を集めている。中台交流を肯定しつつも中国が
台湾統一をめざし繰り出す政治、経済工作への警戒を呼びかけ「対中平和、親日米」路線
を堅持すべきと強調している。

 講演は27日、自ら理事長を務める民間シンクタンク「群策会」の募金会で行われた。李
氏は、中台関係を「あなたはあなた、私は私の友達関係」と規定し、馬英九政権が主張す
る「中台が(定義の違いはあれ)中国は一つと認めた『92年コンセンサス』の存在」を明
確に否定、「馬政権は歴史を偽造し台湾人民を欺いている」と批判した。

 中国の将来の不確定性を十分考慮してつきあうよう求め、中国が政治目的で提供する台
湾への経済優遇策に依存すれば「台湾は長期的経済競争力を喪失する」と警鐘を鳴らした。

 また中国に武力侵攻の気持ちを起こさせないための最低限の軍事力や、中台交流拡大に
伴う防諜(ぼうちよう)工作の強化を求めた。一方で「故意に中国のマイナス面ばかりを
伝える必要はなく」、「中国とは平和な関係」を構築する一方、自由・民主・人権の価値
観を共有する「日米との親密な関係」を発展させるよう呼びかけた。

 さらに、台湾は「(李登輝政権のもとで民主化に邁進(まいしん)した)1990年代の思
想に立ち返り、進路を考えるとき」と強調。「経済利益を求めるあまり、『台湾人の魂』
まで捨て去ってはならない」と締めくくった。

 台湾では馬英九・国民党政権と民進党など台湾独立派の亀裂が深まり、台湾の利益本意
のコンセンサス形成が困難になっている。対中交流を肯定しつつも台湾の「独立自主」堅
持を強調した李氏の講演は中道路線といえ、親中派の「聯合報」と独立派の「自由時報」
の両紙が1面や中面トップで大きく報じるなど関心を集めている。

 5月の訪日を取りやめた李氏は健康も回復、「これからは台湾の国家目標をくわしく説
明し、9月には講演で日本を訪問する」と意気軒高だ。



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