李清興さんを悼む

5月25日朝、第9回李登輝学校研修団で台湾に行っているスタッフの薛格芳さんから、
李清興さんが24日の夜に急逝したことを知らせてきた。あまりにも突然のことで声も出
なかった。20日には高雄の許昭栄さんが焼身自決し、そして李清興さんの突然の訃報と
続き、全身の力が抜けていく思いだった。

 昨年12月、声が出なくなるという喉の異常を訴え、それが咽喉ガンと判明、放射線治
療などを受けて順調に回復していると聞いていた。それが急変したのだった。

 李清興さんといえば、勝美旅行社の社長として、日本人好みのきめ細かな対応をされ
ていたため多くの日本人ツアー参加者から慕われ、台湾へのツアーは勝美旅行社を使う
というリピーターが少なくなかった。

 私どもとは、平成16年(2004年)10月末に第1回台湾李登輝学校研修団を行った際、
台湾側スタッフとして日本語通訳をしていただいたのがご縁だった。

 以来、李登輝学校研修団はもとより、本会や支部主催ツアーなどではずいぶんとお世
話になった。私どものツアーは既成のツアーではなく、すべてオリジナル・ツアーだっ
たが、バスやホテルの手配などはもちろん、参加者の一人ひとりまで気を配るそのきめ
細かな対応ぶりには安定感があり、安心してツアーを委ねられた。

 個人的にも親しくなった。「台湾に来たら、うちの娘の部屋が空いているから使いな
よ」とまで言ってくれた。一緒に勝美旅行社を運営する奥さん(李太太)とも気の置け
ない間柄になっていた。特に本会事務局でツアーを担当する片木裕一(理事・事務局次
長)と薛格芳(理事・青年部長)は、勝美旅行社の東京支社を任せるからとまで言われ
て、名刺まで作っているほどの間柄になっていた。

 その片木氏と薛さんが李登輝学校研修団で訪台しているさ中に、李清興さんは身罷っ
た。2人ともその訃報に号泣したという。

 25日夜、研修が終って、片木氏や薛さん、伊藤団長、講師の迫田さんなど研修団参加
者30名が弔問に訪れた。遺影の前で李太太が「片木さんが来ましたよ」と声を掛けた。
片木氏は後から後から涙が流れ声が出なかったという。

 昨年5月末、李登輝前総統が来日された折、李清興さんは台湾の報道陣の案内役とし
て来日されている。また、8月に開催した第7回李登輝学校研修団では、台風の影響で来
られなくなった講師に替り、急遽、李清興さんに講師をお願いして、戒厳令下の台湾で
日本語を学んだ体験談などをお話しいただいたことも、忘れ難い。李登輝前総統への切
々とした思いを語る熱い心に、こちらも打たれた。

 5月20日に60歳の誕生日を迎えたばかりの李清興さんは、本当に晴れやかな笑顔が印
象的な方だった(ホームページに笑顔の李さんの遺影を掲載しました)。未だ亡くなっ
たことが信じられない。御霊安かれと祈るばかりである。

 葬儀日程は分かり次第、お知らせいたします。

                   (メルマガ「日台共栄」編集長 柚原正敬)



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