9月号の目玉は、なんといっても李登輝元総統の沖縄ご訪問時における3つのご講話。御年95歳の李元総統が中国の覇権主義的な脅威に日米台は協力して対応せよと、声も涸れんばかりに訴えられた姿に会場は水を打ったように静まり、参加した人々は熱心に聴き入りました。
沖縄で直接お聴きしているにもかかわらず、何度読み直しても、読むたびに台湾がめざすべき道筋を示したその気迫に圧倒されました。関係写真10枚とともに掲載しています。
皆さまは、瀧野平四郎(たきの・へいしろう)という群馬県出身の日本人が台湾で「水道の恩人」として尊敬され、記念碑まで建てられていることをご存じでしょうか。
この瀧野平四郎の事跡を発掘したのが、本会理事で群馬県支部長の山本厚秀(やまもと・あつひで)氏。山本理事は3年前に偶然目にしたある掌編で瀧野のことを知りました。しかし、群馬県内の誰に聞いても名前さえ知らない人がほとんどで、どういう人物なのかもその掌編以上のことは分からなかったそうです。
そこで、残されていた当時の写真を手掛かりにお墓を探し、お墓からご遺族を探し当て、記念碑が建立されていたとされる台湾・雲林県の古坑郷を訪ねるなど、苦労の末に瀧野の事跡を明らかにしていったそうです。
この探索には、ご尊父が雲林農田水利会会長だった本会理事の呉正男(ご・まさお)氏なども協力されたそうで、山本理事からこの経緯をお聞きし、身の震えるような感銘を受けました。そこで、今号に探索の経緯などを詳しく執筆していただき、関係写真3枚も掲載しました。
群馬県には、今でも台湾で尊敬されている人物が多く、これまで「台湾紅茶の父」新井耕吉郎(あらい・こうきちろう)、「最後の台南市長」羽鳥又男(はとり・またお)、「台湾風土病の撲滅」羽鳥重郎(はとり・じゅうろう)、芝山巌事件で斃れた六士先生の一人の中島長吉(なかじま・ちょうきち)、「台湾図書館の父」石坂荘作(いしざか・そうさく)、「台湾いろはかるた」を作った須田清基(すだ・せいき)などが知られていましたが、「水道の恩人」瀧野平四郎が加わることになりそうです。
本会が主催する日本李登輝学校台湾研修団(略称:李登輝学校研修団)に参加した坂口隆裕(さかぐち・たかひろ)氏と稻田雅彦(いなだ・まさひこ)氏は、「台湾歌壇」代表の蔡焜燦先生のご講義を聴いて感銘を深くし、そこで3年前の2015年8月に設立したのが「蔡焜燦先生を慕ふ和歌の会」です。
ところが、ご存じのように蔡焜燦先生は昨年7月17日に身罷られました。10月に開いた「蔡焜燦先生を偲ぶ会」では、「蔡焜燦先生を慕ふ和歌の会」も本会などとともに実行委員会の一員としてご尽力いただきました。
代表の坂口氏はこれに止まらず、なんとしても蔡先生の顕彰碑を建立したいと発願。その願いが叶い、来る12月1日、「台湾歌壇」創始者の呉建堂氏や蔡先生の弟分の洪坤山氏の歌碑も建立されている、山口県下松市にある米泉湖湖畔の「文学碑プロムナード」に蔡先生の顕彰碑が建立され、その除幕式が行われることになりました。
そこで今号では、坂口氏に顕彰碑建立に寄せる思いなどを執筆していただきました。顕彰碑には、蔡先生の和歌と、蔡先生を「台湾歌壇」事務局長として支え続けられた三宅教子(みやけ・のりこ)さんの和歌も刻まれるそうです。
そのほかにも盛りだくさんの内容です。下記に9月号の目次を紹介します。☆印は間もなくホームページから閲覧できます。
◆機関誌「日台共栄」 http://www.ritouki.jp/index.php/magazine/
◆機関誌「日台共栄」9月号(第42号) 目次(☆=ホームページ掲載)
【巻頭言】日台関係基本法の制定―台湾に法的位置づけを●林 建良
☆台湾と私(42) 司馬先生が紡ぐ台湾とのご縁●佐藤典子
李登輝元総統の沖縄ご講話●李 登輝
☆台湾で尊敬される「水道の恩人」瀧野平四郎●山本厚秀
台湾との関係を強化する米国●柚原正敬
☆蔡焜燦先生の顕彰碑を建立●坂口隆裕
☆旬の台湾フルーツを堪能し日台交流●加藤秀彦
台湾の国交断絶を謀る中国の狙い●本誌編集部
林建良氏が「二等華光専業奨章」を受章●本誌編集部
台湾政府から「外交之友貢献奨」を授与●辻井正房
支部だより●岡山・青森・千葉
事務局だより●11月10日に秋田県支部が設立・10月20日に台湾高座会留日75周年歓迎大会
編集後記
日台共栄写真館 平成30年5月13日 児玉神社社殿修復事業へのご寄付