評・渡部昇一(上智大学名誉教授)日本人にも由々しい事実
河添恵子著『豹変した中国人がアメリカをボロボロにした』
【産経新聞:平成23(2011)年10月30日】
ナポレオンがセントヘレナ島に流されたとき、そんな島にもシナ人が住んでいたという。
かつて先進白人国からは苦力(クーリー)の国とか、奴隷の民として軽蔑されていたシナ
人は、中国人となって今も世界に溢(あふ)れ出している。しかも大きな顔をし、横紙破
りのビヘイビア(態度)を発揮しながら。
中国人がいたるところに出てゆくこと自体は問題でないはずであるが、日本にとって由
々しいことになっている諸事実を、活(い)き活(い)きとした筆致でリポートし続けて
くれている河添さんに敬意と謝意を表したい。
まず中国人のアメリカ進出のベクトルが、アメリカの政界に向いていることに日本の政
治家や外交官は警戒心を起こし、対策を考えるべきだ。カリフォルニア州の多くの市長や
市議は中国人になっており、今では連邦議会や州議会にも進出しているという。そのこと
がアメリカの対日政策に影響する可能性を考えると話は深刻になる。
数年前マイク・ホンダという日系議員が“従軍”慰安婦問題を連邦議会で取り上げた。
このホンダの支持・支援団体は「世界抗日戦争史実維護連合会」というカリフォルニアに
本部のある反日中国人団体で、しかも中国共産党の公的機関と密接な連携を保ち、共同活
動を展開してきたという一例だけでも、日本はアメリカにいる中国人団体を考慮に入れ、
それに対抗する手段を持った対米政策が必要になってきていることを知らされる。覚悟は
よいか!
中国がフランス・ワインを支配しつつあるという話は愉快ではないが仕方がないだろう。
しかしブータンやラオスなどに中国が手を伸ばしているのはアジアの危機的要因であり、
日本の安全保障にも関係してくる。
それにもまして緊急に危ないのは中国マネーの日本の土地、特に水源地や五島列島の買
い占めが進んでいる点だ。富士山の水まで手に入れようとしているのだ。これに対し日本
政府は全く無策で、それどころか日本列島は日本人だけのものでないと言う首相を抱えて
いた政党が政権を握っている。危ないかな日本!
◆ 河添恵子著『豹変した中国人がアメリカをボロボロにした』(産経新聞出版:1365円)