日台関係基本法に関する江口克彦参院議員の質問主意書に安倍総理が答弁書

ご紹介が遅れたが、第190回国会会期中の去る5月11日、江口克彦・参議院議員が「日台関係及び
『日台関係基本法』の制定に関する質問主意書」を提出し、5月20日、安倍晋三総理が「答弁書」
をもって答えた。

 質問主意書で江口議員は、本会が3年前の2013年(平成25年)3月に「政策提言」として発表した
「日本版・台湾関係法」(日台関係基本法)の制定について「政府がそうした政策提言を受け取っ
た事実はあるか」「政策提言を受け取った事実があるのであれば、その概要を明らかにされたい」
などと質問。

 これに対し、安倍総理は「政策提言は受け取った」と明言しているものの、「その概要について
は、政府としてお答えする立場にない」と答えるに留まった。

 また、「我が国と台湾との関係及び我が国の台湾に対するスタンスについて、現在の政府の見解
を明らかにされたい」という質問については「我が国との間で緊密な経済関係と人的往来を有する
重要なパートナーである台湾との間においてこのような実務関係が着実に発展していくことを期待
している」と答弁し、台湾を「重要なパートナー」と位置づける政府見解を表明した。

 周知のように、第2次安倍内閣は2012年(平成24年)12月26日に発足しているが、その1ヵ月後の
2013年1月31日、岸田文雄・外務大臣が「台湾は基本的価値観を共有する重要なパートナー」
(「交流」1月号、交流協会設立40周年特別号「祝辞」)と述べ、台湾を初めて「重要なパート
ナー」と位置づけた。

 また、安倍総理も昨年(2015年)7月29日の参議院・平和安全法制に関する特別委員会における
答弁で「基本的な価値観を共有する重要なパートナーであり、大切な友人」と述べていた。

 しかし、政府見解として台湾を「重要なパートナー」と位置づけたのは初めてのことであり、画
期的な答弁書と言える。

 以下に、江口議員の「質問主意書」と安倍総理の「答弁書」の全文をご紹介したい。掲載に当
たっては読みやすさを考慮し、漢数字を算用数字に改めたことをお断りする。また、この質問主意
書と答弁書の全文は、参議院のホームページ(下記)に掲載されている。

◆第190回国会(平成28年1月4日〜平成28年6月1日)「質問主意書:提出番号111号」
 http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/190/syuisyo.htm


【質問主意書】

 質問第111号

 日台関係及び「日台関係基本法」の制定に関する質問主意書

 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成28年5月11日

                                       江口 克彦

 参議院議長 山崎 正昭 殿

  日台関係及び「日台関係基本法」の制定に関する質問主意書

 米国が必ずしも「世界の警察」としての機能を果たしきれているとはいえない現在、我が国をと
りまくアジア情勢にも変化が生じてきている。世界経済に及ぼす中国の影響の増大、南シナ海にお
ける中国の進出、北朝鮮の一層の独裁強化と核大国への邁進といった事態は、その典型的なもので
ある。加えて、我が国に米軍駐留経費の全額負担を求め、核保有を容認する米国大統領候補の出現
といった予想外の事態もある。

 こうした状況において、我が国の平和と安全及び経済の発展を日米安保体制だけに委ねてよいの
か疑問がある。

 そこで、日本列島と台湾海峡の地理的関係、歴史的経緯、現代における文化経済の交流の実態等
を踏まえ、台湾との関係についても、改めて整理し、我が国と台湾との外交に法的根拠を与えるな
どの必要な措置を講じる必要があるのではないか。

 以下、台湾に関する政府の認識を確認するとともに、我が国と台湾との外交の法的根拠となる
「日台関係基本法」の制定について質問する。

一 我が国と台湾との関係及び我が国の台湾に対するスタンスについて、現在の政府の見解を明ら
 かにされたい。

二 本年1月16日の台湾の総統選挙及び立法院選挙の結果について、政府の認識を示されたい。ま
 た、我が国と台湾との関係、台湾と中国との関係、ひいては我が国と中国との関係への両選挙の
 影響についてどのような分析を行っているか、明らかにされたい。

三 台湾からは、東日本大震災当日に支援の申入れをいただき、翌日には馬英九総統が「日本政府
 の要請に応じ早急に救援隊を派遣する」と表明された。また、政府民間合わせて63名の救援隊、
 世界で2番目に多い100億円を超える義援金、500トン以上の支援物資など多くの支援をいただい
 た。また、今般の平成28年(2016年)熊本地震に際しても、最初の震度7の地震の翌日には馬英
 九総統から安倍総理宛に見舞い状が届き、熊本県に対し、台湾当局から1000万円の義援金が、台
 湾民進党から約340万円の義援金が、それぞれ寄附されたほか、多くの支援の申出があったとい
 う。
  政府は、こうした台湾からの支援にどのように謝意を伝え、今後もこのような友好関係が維持
 されるよう、どのようなメッセージを送ったのか。

四 台湾では我が国のアニメ、アイドル、ファッションなどが絶大な人気を博すなど文化・音楽の
 交流が盛んである。また、観光による人の往来や貿易も盛んなことから、我が国と台湾との関係
 は益々強くなっていくものと考えるが、政府の今後の日台関係に関する方針を示されたい。ま
 た、安倍外交における台湾の位置づけを明らかにされたい。

五 平成25五年に、「日本李登輝友の会」が、我が国が外交交渉相手として台湾の地位を法的に明
 確に規定する必要性を踏まえ、平等互恵を原則とする日台関係の発展を目的とする「日台関係基
 本法」の早期制定を求める「政策提言」をとりまとめ、安倍総理はじめ関係大臣等に提出したと
 聞いている。

 1 政府がそうした政策提言を受け取った事実はあるか。

 2 前記五の1について、政策提言を受け取った事実があるのであれば、その概要を明らかにさ
   れたい。

 3 前述の日台関係基本法のような台湾との外交の法的根拠となる法律の制定の必要性につい
   て、政府の見解を明らかにされたい。

 4 前記五の3で示した法律の制定につき、これまでに検討したことがあるか、ある場合にはそ
   の内容を含め示されたい。

 右質問する。

                ◇    ◇    ◇

【答弁書】

 答弁書第111号

 内閣参質190第111号

 平成28年5月20日

                                内閣総理大臣 安倍 晋三

 参議院議長 山崎 正昭 殿

 参議院議員江口克彦君提出日台関係及び「日台関係基本法」の制定に関する質問に対し、別紙答
 弁書を送付する。

 参議院議員江口克彦君提出日台関係及び「日台関係基本法」の制定に関する質問に対する答弁書

一、四及び五の3について

  台湾との関係に関する我が国の基本的立場は、昭和47年の日中共同声明第3項を踏まえ、非政
 府間の実務関係として維持するというものである。政府としては、このような基本的立場に基づ
 き、我が国との間で緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーである台湾との間にお
 いてこのような実務関係が着実に発展していくことを期待している。

二について

  本年1月16日の台湾総統選挙及び立法院選挙が円滑に実施されたことは、台湾において民主主
 義が深く根付いていることを示すものとして評価しているが、お尋ねのような分析については、
 相手国・地域との関係もあることから、お答えを差し控えたい。

三について

  東日本大震災に際しては、内閣総理大臣の感謝メッセージを、財団法人交流協会(当時)の
 ホームページ上で発信し、台湾からの支援等に対して謝意を表明した。また、平成28年熊本地震
 に際しては、公益財団法人交流協会を通じ、台湾側に対して日本政府からの謝意を伝達した。

五の1及び2について

  御指摘のような政策提言は受け取ったが、その概要については、政府としてお答えする立場に
 ない。

五の4について

  政府として、御指摘のような法律の制定を、これまでに検討したことはない。


【日本李登輝友の会:取扱い本・DVDなど】 内容紹介 ⇒ http://www.ritouki.jp/

*ご案内の詳細は本会ホームページをご覧ください。

● 台湾フルーツビール・台湾ビールお申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/rfdavoadkuze

*現在、台湾ビール(缶)の在庫が切れています。台湾ビール(瓶)と台湾フルーツビールの在庫
 は大丈夫です。【2015年7月28日】

●美味しい台湾産食品お申し込みフォーム【随時受付】
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/nbd1foecagex

*沖縄県や伊豆諸島を含む一部離島への送料は、1件につき1,000円(税込)を別途ご負担いただ
 きます。【2014年11月14日】

・奇美食品の「パイナップルケーキ(鳳梨酥)」 2,910円+送料600円(共に税込、常温便)
 *同一先へお届けの場合、10箱まで600円

・最高級珍味「台湾産天然カラスミ」 4,160円+送料700円(共に税込、冷蔵便)
 *同一先へお届けの場合、10枚まで700円

●書籍お申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/uzypfmwvv2px

・王育徳著『台湾─苦悶するその歴史』(英訳版)
・浅野和生編著『1895-1945 日本統治下の台湾
・片倉佳史著『古写真が語る 台湾 日本統治時代の50年
・王明理著『詩集・故郷のひまわり』
・李登輝著『新・台湾の主張
・李登輝著『李登輝より日本へ 贈る言葉
・江畑哲男・台湾川柳会編『近くて近い台湾と日本─日台交流川柳句集
・宗像隆幸・趙天徳編訳『台湾独立建国運動の指導者 黄昭堂
・小林正成著『台湾よ、ありがとう(多謝!台湾)
・喜早天海編著『日台の架け橋
・荘進源著『台湾の環境行政を切り開いた元日本人
・石川公弘著『二つの祖国を生きた台湾少年工
・林建良著『中国ガン─台湾人医師の処方箋』
・盧千恵著『フォルモサ便り』(日文・漢文併載)
・廖継思著『いつも一年生』
・黄文雄著『哲人政治家 李登輝の原点
・井尻秀憲著『李登輝の実践哲学−50時間の対話
・李筱峰著・蕭錦文訳『二二八事件の真相』

●台湾・友愛グループ『友愛』お申し込みフォーム *第14号が入荷!
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/hevw09gfk1vr

●映画DVDお申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/0uhrwefal5za

・『KANO 1931海の向こうの甲子園
・『台湾アイデンティティー
・『台湾アイデンティティー』+『台湾人生』ツインパック
・『セデック・バレ』(豪華版)
・『セデック・バレ』(通常版)
・『海角七号 君想う、国境の南
・『台湾人生
・『跳舞時代』
・『父の初七日』

●講演会DVDお申し込みフォーム
https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/fmj997u85wa3

・片倉佳史先生講演録「今こそ考えたい、日本と台湾の絆」(2013年12月23日)
・渡部昇一先生講演録「集団的自衛権の確立と台湾」(2013年3月24日)
・野口健先生講演録「台湾からの再出発」(2010年12月23日)
・許世楷駐日代表ご夫妻送別会(2008年6月1日)
・2007年 李登輝前総統来日特集「奥の細道」探訪の旅(2007年5月30日〜6月10日)
・2004年 李登輝前総統来日特集(2004年12月27日〜2005年1月2日)
・許世楷先生講演録「台湾の現状と日台関係の展望」(2005年4月3日)
・盧千恵先生講演録「私と世界人権宣言─深い日本との関わり」(2004年12月23日)
・許世楷新駐日代表歓迎会(2004年7月18日)
・平成15年 日台共栄の夕べ(2003年11月30日)
・中嶋嶺雄先生講演録「台湾の将来と日本」(2003年6月1日)
・日本李登輝友の会設立総会(2002年12月15日)


◆日本李登輝友の会「入会のご案内」

・入会案内:http://www.ritouki.jp/index.php/guidance/
・入会申し込みフォーム:https://mailform.mface.jp/frms/ritoukijapan/4pew5sg3br46


◆メールマガジン日台共栄

日本の「生命線」台湾との交流活動や他では知りえない台湾情報を、日本李登輝友の会の活動情報
とともに配信する、日本李登輝友の会の公式メルマガ。

●発 行:
日本李登輝友の会(渡辺利夫会長)
〒113-0033 東京都文京区本郷2-36-9 西ビル2A
TEL:03-3868-2111 FAX:03-3868-2101
E-mail:info@ritouki.jp
ホームページ:http://www.ritouki.jp/
Facebook:http://goo.gl/qQUX1

●事務局:
午前10時〜午後6時(土・日・祝日は休み)

●振込先:

銀行口座
みずほ銀行 本郷支店 普通 2750564
日本李登輝友の会 事務局長 柚原正敬
(ニホンリトウキトモノカイ ジムキョクチョウ ユハラマサタカ)

郵便振替口座
加入者名:日本李登輝友の会(ニホンリトウキトモノカイ)
口座番号:0110−4−609117

郵便貯金口座
記号−番号:10180−95214171
加入者名:日本李登輝友の会(ニホンリトウキトモノカイ)

ゆうちょ銀行
加入者名:日本李登輝友の会 (ニホンリトウキトモノカイ)
店名:〇一八 店番:018 普通預金:9521417
*他の銀行やインターネットからのお振り込みもできます。