昨日の本誌で、全国の市町村長を会員とする「日台共栄首長(くびちょう)連盟」(会長:宮元陸・加賀市長)が6月15日に、総理官邸において宮元会長から岸田文雄総理に「日台間の法的整備(仮称『日台関係法』の制定等)を進める」ことなど3項からなる「要請書」を手渡したことをお伝えし、その要望書の全文もご紹介しました。
その際、岸田総理との面談後、宮元会長は総理官邸詰めのメディアによる囲み取材を受けましたが、残念ながら日本メディアの報道はなく、台湾の「中央通信社」と「自由時報」がその日のうちに報道(中文)したこともお伝えしました。
引き続いて、昨日、いずれも日本語バージョンの中央通信社の「フォーカス台湾」と「台湾国際放送」が報じました。
日本では、岸田総理に「要請書」を手渡した同じ日に、岸田総理が衆議院を解散しないという大きなニュースが出ましたので記事にならなかったのかもしれません。
ただ、全国の首長が台湾のことで声を上げることは恐らく初めてのことです。その点で、中央通信社の日本語版報道はとても要領よく伝えています。台湾メディアの方が「台湾有事」に敏感な証左かもしれません。
◆日台共栄首長連盟が岸田首相を訪問 日本版の台湾関係法制定に期待 【台湾国際放送:2023年6月16日】 https://jp.rti.org.tw/news/view/id/97226
—————————————————————————————–市町村長らでつくる台湾友好団体 日台関係法の制定求める 岸田首相に要請書【中央通信社:2023年6月16日】https://japan.focustaiwan.tw/politics/202306160001
(東京中央社)日本と台湾のさらなる関係強化と中国の覇権的行動に対してより毅然とした対応を求めようと、日本全国の基礎自治体首長でつくられる日台共栄首長連盟は15日、首相官邸で岸田文雄首相に要請書を手渡した。日台関係強化の法的な裏付けとなる「日台関係法」の制定などを求めている。
石川県加賀市長で同連盟の宮元陸会長は「毅然とした意思表示が重要」とした上で「台湾は世界で最も親日的な国であり、台湾有事の話が出ているにもかかわらず、日本国内には切迫感がない。台湾とは米国の台湾関係法のような法的な裏付けが必要」と述べた。
同連盟によると、岸田氏は「台湾は自由や民主主義、法治、人権などの基本的価値観を共有し、経済交流や人的交流も盛んな大事なパートナーであり、大切な友人」と強調。「提案を重く受け止め、政府として、特に自民党としてしっかり考えていかなければならない」と述べたという。
要請書では、日台間の法的整備推進▽中国に台湾有事を起こさせないため、安全保障面での国際社会および日米台の緊密な連携の推進▽尖閣諸島(台湾名:釣魚台列島)への不当な干渉をはじめとする中国の一連の覇権的行動に対する一層の毅然とした対応─をそれぞれ求めた。
同連盟は2021年12月に発足した。日台のさらなる関係強化を目指しており、現在の会員数は136人。
(楊明珠/編集:齊藤啓介)
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