日台のさらなる教育交流の深化をめざし「台日大学学長フォーラム」が開催

 日本から台湾の大学に留学するケースが増えている。

 文部科学省の調査によれば「OECD、ユネスコ、米国国際教育研究所(IIE)等の2020(令和2)年統計をもとに、海外の機関が把握している、日本人の海外留学者数(主に長期留学)を文部科学省が集計したところ、42,709人(対前年比19,280人(31.1%)減)であり、留学者数の多い国・地域は、アメリカ合衆国11,785人、中国7,346人、台湾5,116人」(2023年3月7日「『外国人留学生在籍状況調査』及び『日本人の海外留学者数』等について」)だったという。

 コロナの影響で全体的に減少しているが、日本学生支援機構の2018年度の調査では、米国:19,891人、オーストラリア:10,038人、カナダ:10,035人、韓国:8,143人、中国:7,980人、英国:6,538人、そして台湾の5,932人となっている。

 台湾留学では、中国語と英語の両方をマスターできる環境が整っていることや、授業料や生活費が安いことが挙げられる。授業料は私立大、国立大を問わず年間35万円〜70万円ほどで、学費や生活費などの年間総経費は100万円ほどだという。そのため、高校から直接、台湾の大学に進学するケースも急増している。

 日本から台湾の大学への留学や進学が増えている要因の一つとして、台湾と日本の高等教育に関する定期的な交流メカニズムとして、2016年から「台日大学学長フォーラム」が開催されていることが挙げられる。2年に1回、台湾・日本で交互に開催されているという。

 7月25日、南投県にある国立曁南国際大学で台湾から50校、日本から26校の大学が参加して「2023年台日大学学長フォーラム」が開かれた。共催した台湾の高等教育国際合作基金会と日本の国公私立大学団体国際交流担当委員長協議会のほかにも、台湾の教育部、台北駐日経済文化代表処、日本の国立大学協会、日本私立大学協会の関係者など総勢130名が参加したそうだ。

 日本から台湾の大学への留学や進学が増えている要因としては、高校生の台湾への修学旅行が2017年度には5万人を超え、米国を抜いて台湾がトップになったことも挙げられるだろう。

 また、日台の姉妹都市など都市間提携も2016年には年間16件となり、1979年以来、初めて10件を超える事態となり、地方自治体が台湾との交流に力を入れ始めたことの影響も見逃してはなるまい。コロナがほぼ収束した今年の日台間の都市間提携はすでに13件に達し、2017年の21件に迫ろうとしている。

 日本は台湾と世界で唯一50年の歴史を有し、距離の近さや治安が良いことなども挙げられるだろう。なにより、地政学的なことからも日本にとって台湾は唯一無二ともいうべき友邦であり「重要なパートナー」だ。

 このような日台の学長フォーラムにより、大学間交流の礎がよりいっそう固く強くなることを心から歓迎し、Taiwan Today誌の記事を下記に紹介したい。

—————————————————————————————–教育部が台日大学学長フォーラム、教育・研究協力関係の深化目指す【Taiwan Today:2023年7月26日】https://jp.taiwantoday.tw/news.php?post=239779&unit=151&utm_source=Taiwan+Today+JP+9&utm_medium=email&utm_content=%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9+textlink

 台湾の高等教育国際合作基金会(高教基金会、FICHET)と日本の国公私立大学団体国際交流担当委員長協議会(JACUIE)は25日、国立曁南国際大学(台湾中部・南投県)において、「2023年台日大学学長フォーラム」を共同で開催した。台湾と日本の著名な大学76校(台湾50校、日本26校)、教育部(日本の文部科学省に類似)、台北駐日経済文化代表処、日本の国立大学協会、日本私立大学協会の関係者など総勢130名が参加し、台日双方が教育交流深化を重視する姿勢がうかがえた。

 教育部国際及両岸教育司の李彦儀司長は開幕のあいさつで、台湾は国際的な教育パートナーシップの推進に尽力しており、教育部も台湾の大学が引き続き日本の大学と学術・研究上の連携を確立していることを喜ばしく思っていると述べた。今回のフォーラムでは、李彦儀理事長が教育部を代表して、国立大学協会会長を務める筑波大学の永田恭介学長に二等教育専業奨章を授与した。そして、2015年からJACUIEの委員を務めていた永田学長の積極的な働きかけによって2016年に第1回台日大学学長フォーラムの開催が実現したこと、台湾と日本の高等教育に関する定期的な交流メカニズムを確立し、同フォーラムと台湾・日本の教育交流の推進に力を入れていることに感謝した。

 今回のフォーラムのメインテーマは「Fostering Next-gen Talent: The Capacity-building Roadmap for Higher Education(次世代の人材育成:高等教育における能力構築のためのロードマップ)」。次世代の先進的な科学技術に関する人材育成と、台湾と日本の大学間の分野を超えた教育研究協力に焦点を当てた。高教基金会の蘇慧貞顧問がメインテーマに関する特別講演の演者として招かれた。そのほか、「先端科学技術をリードする高度で専門的な人材の育成」、「高等教育における多様性、公平性、包括性の促進」、「グローバル人材の誘致:新たな機会と展望」、「分野を越えた研究と学術協力」などの重要なテーマについて、パネルディスカッションが行われた。対話と意見交換を通じて相手の高等教育の現状への理解を深めるとともに、具体的な合意形成を図り、さらなる台日学術・教育協力の機会を模索した。

 教育部の統計によると、2022年から2023年までに台湾に留学した日本人学生は6,539名で、国・地域別ではアジア地区で5番目に多かった。そのうち2,670人は、学位の取得を目的としたものだった。日本人学生が台湾の学習環境を評価し、留学先に台湾を選んでいることがわかる。

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※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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