新世代の「行動型思想家」 [鄭南榕夫人 葉 菊蘭]

「第4回台湾建国烈士 鄭南榕先生を偲ぶ会」メッセージ

 2008年、民進党は立法委員、総統選挙に相次いで惨敗しました。国内外は我が国の民
主主義が後退の危機に瀕している、台湾の人々の国家に対する価値観と方向性が多岐に
わたっていると懸念しています。その上、「海洋の声」放送局の廖述炘・台北局長の焼
身自殺の悲劇が起き、遺憾きわまりない思いです。

 1987年、戒厳令が解除され、それからの21年の間に我が国の民主化は素早く推進され
ましたが、その間の19年間の前進、あるいは後退、涙と笑いを、鄭南榕は台湾の人々と
分かち合うチャンスに恵まれませんでした。しかし、この徹底的反省と初心に帰ること
を求められている今、私は「行動型思想家」に思いを馳せます。

 思考を重ね、信念を貫き通すことを止まない人間は、常に反省を怠らず、失敗を恐れ
ず、時には思い切って、自分の歩幅と方向を変えることすらありうる人間でもあります。
私達が直面しているのは変化が止まず、私達と常に相互作用し、影響を及ぼす移り変わ
りの多い世界です。私達が正義をもって凛然として、剛直不屈で困難に敢然と立ち向か
う時は、国民の熱狂的な支持を得られました。私達が安直で、傲慢で、独り善がりで大
衆の苦難を無視して独り決めする時は、私達の理念と目標はぼんやりとしてしまいまし
た。私達が自分で定めた準則から遠ざかるほど、民衆もそれだけ離れていきます。

 今回の総統選挙の総幹事として、南榕の19周年を偲ぶ前日に、私個人は特に痛切に反
省する必要があると強く感じました。殊に無条件で私たちを支持してくれた544万の人た
ちを前にして、心の中の深い感謝の念は複雑でした。私たちは執政の失敗について責任
を負わなければなりません。改革の意見やアドバイスを出す前に今回の失敗の中、誠心
誠意、自分の過ちを認めなければなりません。自己認識、自己反省は知恵の芽生えです。
これこそ南榕であればまずやることだと思います。

 反省と感謝と同時に、私が目にした人に無限な希望を持たせた現象を南榕も見たと信
じております。それは若い公民の関心です。戒厳令が解除される前後に生まれた新世代
の青年は自由で、開放的で、束縛のない創作アイディアにあふれる環境の中で成長しま
した。若い有権者の56%が民進党の立候補者謝長廷さんの民主、進歩、本土化などの価
値観を認めています。彼らは執政の失敗で気落ちしていません。マスメディアの掻き立
てる悪意に迷わされることもなく、謝長廷の理念を認めています。彼らはその成長過程
において、多くの困惑、矛盾、衝突に直面しなければなりませんが、同時に、多元、自
由、開放的な環境を享受しています。

 彼らの半分以上は、世間の耳目を欺く雰囲気の中、覚醒した理智で、「逆転勝利」
「逆風行脚」「謝長廷に挑戦」などのイベントを通じ支持を呼びかけました。「三一六
百万撃掌」において、そして投票日前夜のイベントにおいて、自主的に自らの信念を実
践しました。

 彼らは新世代の「行動型思想家」です。私たちが堅持して来た「進歩本土」論述に新
しい命を与えることのできる世代です。

 19年あるいは21年は、私たちの限りある命の中では長い歳月になるかもしれませんが、
歴史の中ではほんの一瞬に過ぎません。南榕や彼の先輩や同輩が昔に蒔いた種は、たと
え多くの困窮を経験してもすくすくと育っています。私たちにはまだ544万の剛毅な同
志がいます。その中の百何万は成人したばかりです。

 私たちの世代が痛切に反省するとき、新しい世代は大きく羽ばたこうとしています。
思想、行動、反省、進歩の「行動型思想家」が至るところで奮い立っているのを実感で
きます。天佑台湾。



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