戸籍問題はまだ真の解決に至っていません! 「施行令」改正にご協力ください

法務省は5月26日、「戸籍法施行規則の一部を改正する法務省の省令」を発令し、戸籍や出生届や婚姻届などの届出書に「台湾」と記載できるようになりました。

1964年6月19日、法務省民事局長通達により、台湾の中華民国出身者も中華人民共和国出身者も戸籍の国籍を「中国」とされて以来、60年以上を経てようやく台湾出身者は「台湾」と表記されるようになりました。

戸籍において、台湾出身者が「台湾」と表記されるのは初めてのことです。

改めて賛同署名などにご協力いただいた皆様に御礼申し上げます。

オピニオン誌などでは、台湾出身者の戸籍問題が全面的に解決したかのようなトーンの記事も見かけます。

確かに、本丸である法務省管轄の戸籍や届出書は「台湾」と記載できるようになりました。

しかし、例えば、厚労省管轄の医師免許証や調理師免許証ではいまだに台湾出身者は「中国」と記されたままです。

これが今後に残された問題です。

最近、医師免許証を持つ本会理事が厚労省へ問い合わせたところ、担当者から「戸籍法が改正になっても登録する台湾は地域名ですから。

今のところそれしかお答えできません」という返答だったそうです。

この厚労省の担当者の返答に問題解決の鍵が潜んでいます。

ポイントは「台湾は地域名」ということです。

法務省の省令では「国籍」が「国籍・地域」欄に変更され、台湾とパレスチナ(ヨルダン川西岸地区及びガザ地区)出身者は「台湾」「パレスチナ」と表記できるようになりました。

法務省管轄の届出書でも「外国人のうち、次の地域の法を本国法とする人は、国籍に代えて地域を記載することができます」として、台湾とパレスチナをあげています。

つまり、台湾もパレスチナも日本では国ではなく「地域」扱いになっています。

国交(外交関係)を結んでいませんので致し方ないことです。

それに加え、法務省の省令改正により、他省庁が管轄する免許証などが自動的に「台湾」に変わるわけではありません。

法務省は自省で変更したことですから、すでに「出生届」や「婚姻届」などの届出用紙には「台湾」と書くように、「記入の注意」に説明を付けて印刷しています。

しかし、法務省以外の厚労省などの他省庁は、もう一つ大事な手続き改正が必要なのです。

例えば、厚生労働省管轄の医師免許証は、いまでも台湾出身者を「中国」と記しています。

なぜ「中国」から「台湾」に変わらないかといいますと「医師法施行令」が変更されていないからです。

医師法施行令の運用は「医務局長通知」として各都道府県知事宛に送られています。

現在でも、「医務局長通知」は有効で、医師免許を申請する台湾出身者に「中国」と記入させるよう通知しています。

さらに具体的に言えば、「医師法施行令」の第4条「医籍には、次に掲げる事項を登録する」とあり、その第2項には「本籍地都道府県名(日本の国籍を有しない者については、その国籍)、氏名、生年月日及び性別」を登録せよ、となっていて、未だにこの国籍条項は改正されていません。

これが「中国」から「台湾」に変わらない理由です。

免許発行の根拠となっている施行令が改正されていませんので、変更もされていないのです。

ですから、この第2項の表記が「日本の国籍を有しない者については、その国籍・地域」と改正されれば、「医務局長通知」でも改正したことを各都道府県知事宛に送りますので、「中国」から「台湾」と登録できるようになります。

すでに本誌4月12日号で「第戸籍問題解決の総仕上げのため厚生労働省に皆様から『ご要望』をお送り下さい!」と題し、下記のようなお願いをしました。

大事なことですので改めて掲載します。

*       *       *

厚労省には【「国民の皆様の声」募集 送信フォーム】があり、ここに皆様から「ご要望」をお送りしていただきますようお願いします。

◆厚生労働省「国民の皆様の声」募集 送信フォーム https://www.mhlw.go.jp/form/pub/mhlw01/getmail

氏名は任意です。

最大文字数は2000字です。

文面は簡単で結構です。

下記に見本を示します。

これで280字です。

<法務省は、令和7年5月26日に「戸籍法施行規則の一部を改正する省令」を施行し、戸籍の国籍欄を「国籍・地域」欄に改め、台湾出身者を「中国」から「台湾」と表記するようになります。

厚生労働省は、これまで戸籍の国籍欄に従い、医師免許証や調理師免許証など管轄する免許証において、台湾出身者の国籍を「中国」としてきました。

法務省の省令施行後は戸籍にのっとり、速やかに医師法施行令や調理師法施行令などを出し直し、台湾出身者を「台湾」と表記する免許証を発行することを要望します。

また、これまで発行した免許証でも、台湾出身者からの要請があれば訂正に応じていただくよう要望します。

厚労省が法的根拠とする法務省管轄の戸籍が改正されたわけですから、厚労省は速やかに法的根拠に則って医師法施行令などを改正する義務があります。

ただし、施行令は政令ですので内閣府管轄となるものの、厚労省が改正に乗り出さないことには解決の道筋はつきません。

免許証を持つ台湾出身者にとっては、免許証の表示が「中国」から「台湾」に変わることで、戸籍問題が解決したことを実感します。

これが変えられなくては、戸籍問題の真の解決、全面的な解決とはなりません。

改めて、厚労省に対し、台湾出身者を「台湾」と表記する免許証を発行することを要望していただきますよう皆様にご協力をお願いします。


※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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