昨日の本誌で、今回で6回目(2011年、2016年〜2020年)となる台北駐日経済文化代表処による日本人の「台湾に対する意識調査」についてご紹介した。
本誌では、意識の変遷が重要と見て、2016年以降の「もっとも親しみを感じるアジアの国・地域」と「台湾を信頼できるか」「台湾に親しみを感じるか」に絞ってその変遷を紹介したが、この意識調査では「日本と台湾の関係をどう思うか」「日本と台湾の関係は将来どうなるか」「日本と台湾の間で最も懸念される問題」なども調査し、また武漢肺炎こと新型コロナウイルス感染症についても「台湾の新型コロナウイルス感染症対策で印象に残ったこと」など、22問の調査結果を発表している。その詳細は下記の「台湾に対する意識調査」で確認していただきたい。
また、この5年間の変遷とともに、中国に対する日本人の意識との比較も興味深いところで、この点については産経新聞論説委員で元台北支局長の河崎眞澄記者が詳しく紹介している。本誌が2回連続で同じテーマを取り扱うことはめったにないが、それだけ興味深い調査結果なのでお許しいただきたい。
◆台北駐日経済文化代表処:台湾に対する意識調査[2020年12月] https://www.taiwanembassy.org/uploads/sites/44/2021/01/%E3%80%902020%E3%80%91%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E6%84%8F%E8%AD%98%E8%AA%BF%E6%9F%BB_%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8.pdf
—————————————————————————————–台湾に「親しみ」78%、コロナ対策57%「評価」、日本人の意識調査、対中感情との差浮き彫り【産経新聞:2020年1月6日】
昨年11月に行われた「日本人の台湾に対する意識調査」で、「台湾に親しみを感じる」との回答が77・6%に上り、新型コロナウイルス感染症について56・7%が「感染者数や死亡者数が少ない」と台湾の状況を評価していることが分かった。台北駐日経済文化代表処(台湾の駐日大使館に相当)が6日、発表した。
この調査は同代表処が都内の一般社団法人、中央調査社に委託し、2016年から行っているもので、今回は5回目。昨年11月14〜26日、北海道から沖縄県まで20〜80代の計1000人を対象に、インターネットと電話で回答を得た。
台湾に親しみを感じるとの答えは16年に66・5%だった。好感度は4年間で11ポイント以上アップしている。
親近感の理由を聞いたところ、77・8%が「台湾人は親切で友好的」、43・4%が「歴史的に日本との交流が長い」と答えた。「東日本大震災への支援」との回答も34・8%に上った。
他方で、日本の民間非営利団体、言論NPOなどが昨年9〜10月に行った調査で、中国に「良くない」印象を持つ日本人は89・7%に上っている。日本で対中感情が悪化する一方、台湾への親近感が強まる傾向が浮き彫りになってきた。
台湾に対する意識調査で「台湾は信頼できるか」との問いに67・6%が「信頼できる」と回答。このうちの60・7%までが「自由と民主主義の価値観」を理由に挙げ、共産党一党独裁の中国との差を印象付けた。
新型コロナ対策で感染者数の少なさに加え、29・1%が「感染状況に関する情報公開の徹底」と回答するなど、台湾衛生当局によるスピーディーで透明性の高い水際対策を評価した。新型コロナ収束後、台湾に行きたいとの答えは49・9%と2人に1人に上った。
日台間で懸念される問題として37・5%が「台湾と中国の関係による日本への影響」を挙げた。台湾海峡をめぐる軍事緊張など、中台関係の悪化への関心が高まっている。さらに日台間に残る「漁業問題」9・9%、「領土問題」9・6%なども意識されている。(河崎真澄)
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