小泉前首相に期待したい台湾新幹線開通式への出席

小泉前首相は台湾出身戦歿者慰霊のためにもぜひ訪台を!

 先に、台湾の陳水扁総統が今月末に予定されている台湾高速鉄道(台湾版新幹線)の開
通式に小泉純一郎前首相を招待する旨をご紹介しましたが、その招請状の全文が明らかに
なりましたのでここにご紹介します。

 この招請状は去る9月27日、台北駐日経済文化代表処を通じて送られましたが、果たして
小泉前首相がこの招請を受けるかどうか注目されるところです。

 台湾には日本語世代を中心に、小泉前首相の靖国神社参拝を支持してくれた人々が少な
くありません。しかし、日本との国交が断絶していることもあって、多くの人々は靖国神
社のことをよく理解できていないように見受けられます。靖国神社には忠烈祠と同様に位
牌が祀られていると思っていたり、また遺骨が祀られているとの誤解が根強く残っている
ようです。

 その点で、訪台は、なぜ靖国神社に参拝し続けたのか、台湾の人々に直接語りかけるま
たとない機会であり、靖国神社への理解を促す願ってもない機会です。中国に対しても、
靖国参拝の意義を改めて知らしめることになります。

 周知のように、靖国神社には台湾少年工など台湾出身戦歿者も27,800余柱祀られていま
す。実は、台湾にも靖国神社と同様の施設があります。
 それが、台中市・宝覚禅寺の境内に建立されている「霊安故郷碑」と「英魂観音亭」で
す。大東亜戦争で亡くなった台湾出身戦歿者を慰霊するところです。この「霊安故郷碑」
こそ、小泉前首相の靖国神社参拝を強く支持された李登輝前総統の揮毫になるものです。
一方の「和平英魂観音亭」は有末精三氏(陸軍中将)の揮毫になります。

 この「霊安故郷碑」と「平英魂観音亭」を参拝することは、まさに靖国神社を参拝する
こととまったく同じ意義を有します。ですから、この招請を受け入れることは、台湾出身
戦歿者の御霊を慰霊顕彰する絶好の機会となります。

 また、日本は平成15年4月から「外国人旅行者訪日促進戦略」の一環としてビジット・ジ
ャパン・キャンペーン(VJC)を実施し、「2010年までに1,000万人の訪日外国人誘致」
を実現するための活動を展開中で、その成果として台湾と韓国からの旅行者に対してノー
ビザを実現しています。その際、中国はビザ対象地域を拡大しただけで、ノービザ措置を
取りませんでした。これは、日本が明らかに台湾と中国を区別できるというメッセージを
発したことに他なりません。

 この台湾へのノービザ措置によって、昨年の訪日客数は前年比18%増となり過去最高の
127万人ともなりました。これに呼応するように、日本から台湾への渡航者も過去最高とな
り、112万人となっています。

 これは国交省の所管とはいえ、小泉氏が首相時代に主導したことです。台湾新幹線の開
通により、今後の日台の相互交流に拍車がかかることは明らかです。ビジット・ジャパン
・キャンペーン(VJC)は2010年まで続きますので、小泉前首相はその主導者として訪
台して御礼を述べるとともに、このビジット・ジャパン・キャンペーンを台湾の人々に直
接訴えるチャンスともなります。

 さらに、台湾が日本の安全保障問題にとって最重要地域であることは論を俟ちません。
中国に明確なメッセージを発し、日本の台湾政策を明確なものとするためにも、このよう
な機会はそうそうに訪れない好機です。小泉前首相には陳水扁総統からの招請をぜひ受け
入れ、訪台されんことを強く希望し期待します。

                   メールマガジン「日台共栄」編集長 柚原正敬


【9月29日付 「台湾週報」第39週号】

 小泉純一郎・前首相閣下

 私は謹んで中華民国(台湾)の政府と国民を代表し、閣下が首相在任中わが国との関係
の強化に尽力されましたことに、衷心より謝意を表します。

 閣下は2001年の首相就任以来、政治改革に尽力され、継続して貴国の経済発展をリード
され、対外的には国際実務にも積極的に参画され、大きな影響力を発揮してこられました。
その卓越した政治功績は日本の全国民の大きな支持と評価を受けております。閣下の高遠
な志と揺るぎない改革への気概は、貴国の歴代首相のなかでも典範となるものと確信して
おります。

 台湾高速鉄道は、貴国にとって新幹線の技術を初めて海外に輸出するものであり、2006
年の開通を予定しております。貴国の多大な協力に謝意を表するため、この場をお借りし
て閣下の台湾訪問を心より歓迎し、台湾高速鉄道の開通式典にご招待申し上げますととも
に、できれば閣下と会談の場を持ちたいと願っております。ここに謹んで閣下よりの朗報
を期待申し上げますとともに、閣下に最高の敬意を表します。

 中華民国(台湾)総統 陳水扁
 中華民国95(2006)年9月27日



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