尋常ならざるパスポート大量強奪事件が台湾で起きた[宮崎正弘]

「台湾統一」を獅子吼する中国人が何故、“小国”のパスポートを欲しがるの?

尋常ならざるパスポート大量強奪事件が台湾で起きた
「台湾統一」を獅子吼する中国人が何故、“小国”のパスポートを欲しがるの?
【10月17日 宮崎正弘の国際ニュース・早読み】

 台湾のパスポートが492通、ごっそりと台北飛行場付近で強奪された(10月5日)。団体
ツアーの添乗員が顧客から預かっていたもので、団体ツアーの出発前に空港へとどける途
中だった(台湾有力紙『自由時報』10月6日付け)。

 なぜ台湾人のパスポートが狙われたのか?

 中国人が台湾人パスポートを闇市場を通じて邦貨換算で、およそ50万円で買うからだ。
台北国内で、老人やら生活保護者らが外国へ行く予定もないのにパスポートを取って、マ
フィアに20万円で売る。マフィアが顧客に50万円で売る闇のルートもある。

 しかしあれほど「祖国の統一」などと言って、激しく台湾を非難しつづける中国の、こ
れこそ最大の矛盾だろう。

 台湾人パスポートを携行し、台湾にさえ旅行しなければ世界どこへでも殆どがビザなし
でいける。密航の必要さえない。

 ことし、特例としてモンゴルが日本人旅行者にビザなし措置に踏み切った。日本人には
向う二年間、ビザなし措置である。しかし「互恵平等」の原則からいえば、モンゴル人に
もビザなしとするべきだろうが、もし、モンゴルにもビザなしを与えたら最後、これを買
うのはモンゴル人ではなくて中国人になるだろう、と言われる。モンゴル人を装って日本
に来れば良いからだ。

 というわけでパスポートも危険がいっぱい。

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