なんとその前に、トランプ大統領は12月19日(現地時間)、3月に成立した「台湾旅行法」のチベット版に相当する「チベット相互入国法」にサインして成立させていた。この法案では、中国政府が米政府高官やジャーナリストのチベット立ち入りを制限した場合、国務長官はこの法案に基づき、中国政府関係者の入国査証の発給を拒否できると定めているという。
先般12月23日に本会の「日台共栄の夕べ」でご講演いただき大好評を博した宮崎正弘氏がメルマガ「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」で早々に伝えていた。遅ればせながらご紹介したい。
米議会、こんどは「チベット旅行法」を可決チベット入境が許可されない限り、中国のチベット官憲も米入国を認めず【宮崎正弘の国際ニュース・早読み:平成30年(2018年)12月22日(通巻5927号)】
正式には「チベット相互入国法」。ちなみに、英語名は「THE RECIPROCAL ACCESS to Tibet Act 2018」
すでに米上下議会を通過していたが、2018年年12月20日、トランプ大統領が署名したので、チベット旅行法は正式に成立した。
成立までの背景は直接的にはチベット系アメリカ人団体、インドにあるダライラマ政府などが働きかけてきたもので、中国のロビィ工作が激しかった時代には議員らの理解は稀薄だった。
下院ではジム・マクガバンン議員が中心となって超党派の議会工作が続けられてきた。
要するにアメリカ人外交官、公務員、ジャーナリストらがチベットへの旅行を許可されず、また一般のアメリカ人観光客も団体ヴィザで、制限された行動予定、ホテルの限定など厳しい条件が付いた(日本もまったく同じで、嘗て読売の浜本特派員がチベット取材に行ったが入国を拒否された。筆者は成都から団体ツアーに紛れ込んでラサへ行ったことがあるが。)
またチベット系アメリカ人の里帰りも認められず、家族と長きにわたって連絡の取れない人々が世界に散らばっている。もちろん、日本にも相当数のチベット人が暮らしているが、本国との連絡が十分にとれていない。
外交では「双務主義」が原則である以上、アメリカ人外交官、公務員、ジャーナリストの入境を拒否した中国官憲ならびにその責任者は米国への入国を認めるべきではないとする法律は超党派の支持を得るようになり、公聴会が何回も開催されてきた。
大統領署名後は国務省が議会への報告義務を負う。