安倍元総理が12月1日に「新時代の台日関係」と題してオンライン台湾講演

 高市早苗・衆議院議員が自民党総裁選で大善戦した理由は、安全保障について、軍事費を増額して敵基地攻撃能力を獲得し、サイバーセキュリティを充実させることや、憲法改正について、すべて見直し新しい日本国憲法の制定を目指す、総理に就いても靖國神社参拝を続けるなど、的を射た歯切れのよい発言が好感を持たれたこともさることながら、安倍晋三元総理の支持を得たことが大きかった。

 台湾関係者には、総裁選中に台湾総統でもある蔡英文・民進党主席と電話会談したことが前代未聞の快挙と受け止められた。11月24日の講演でも「台湾が万が一、今の香港の状況になってしまったら、地獄のような状況が生まれる」と述べ、中国による台湾侵攻への危機感を示すこの発言が報道の見出しを飾った。

 高市政調会長の後ろ盾となった安倍元総理もまた、実弟の岸信夫・防衛大臣とともに台湾ではもっとも知名度が高い親台湾派として知られる。

 親しかった李登輝元総統のお墓参りについて「機会があればしたいと考えてきたし、今も考えている」と表明と、台湾では大きなニュースになる。

 その安倍元総理が来る12月1日、台湾の国策研究院文教基金会主催により「新時代の台日関係」と題したリモート講演会を行うという。中央通信社が伝えているので、その記事を下記にご紹介したい。

 この記事によれば「質問者として出席するのは、鄭文燦(ていぶんさん)桃園市長や林智堅(りんちけん)新竹市長、与党・民進党の羅致政(らちせい)立法委員(国会議員)、范世平(はんせいへい)台湾師範大学教授ら」というから、質問者の顔触れも豪華メンバーだ。

 特に注目するのは羅致政・立法委員だ。国際関係や外交政策の専門家で、去る8月27日、自民党の佐藤正久・外交部会長、大塚拓・国防部会長が台湾の与党・民進党で外交、防衛分野を専門とする立法委員と与党版2+2をオンラインで会談した際、蔡適応・立法委員とともに出席している。

 安倍元総理の「新時代の台日関係」もとても魅力的な演題であり、どのような質疑応答が行われるのか興味は尽きない。大きな波紋を起こす講演会になるのではないだろうか。

—————————————————————————————–安倍元首相、来月1日にリモート講演 台日関係を語る TPPなど焦点に【中央通信社:2021年11月25日】https://japan.focustaiwan.tw/politics/202111250001

 (台北中央社)安倍晋三元首相が来月1日、「新時代の台日関係」と題した講演をリモート形式で行う。講演会を主催する民間研究機関、国策研究院文教基金会が24日発表した。市長や立法委員(国会議員)、学者が参加し、環太平洋経済連携協定(TPP)への台湾の加入や台湾有事への日米同盟の対応などについて質問する。

 同基金会によれば、質問者として出席するのは、鄭文燦(ていぶんさん)桃園市長や林智堅(りんちけん)新竹市長、与党・民進党の羅致政(らちせい)立法委員(国会議員)、范世平(はんせいへい)台湾師範大学教授ら。

 TPPや台湾有事のほか、米中戦略競争の局面や台日の民主主義・人権、経済・科学技術における安全保障協力、台日2プラス2、今後の日中関係の動きなどについて質問する予定だという。

 台湾を支持する姿勢を明確にしている安倍氏。台湾や米国、日本の国会議員による初の「台米日戦略対話」が7月に開催された際にはサプライズゲストとして出席し、世界保健機関(WHO)総会やTPPなどへの台湾の参加に支持を表明した。10月に開かれたアジア地域の対話を促すフォーラム「玉山論壇」には書面であいさつを寄せ、台湾は日本と価値観を共有するパートナーであり、重要な友人だとの考えを示していた。

(鍾佑貞/編集:名切千絵)

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