学研トイズに対する台湾駐日代表処の抗議と販売中止要請文

1月9日に学研トイズの地球儀問題が起こり、早速その翌日、台北駐日経済文化代表処
(許世楷代表)が朱文清・広報部長名で学研トイズに抗議と販売中止を求める要請文を
送付した。

 台湾政府が大使館である台湾駐日代表処を通じ、「台湾は中華人民共和国とは別の主
権国家」と宣して学研トイズに販売中止を求めたことは、台湾側の毅然とした姿勢を示
すとともに、日本人の台湾認識を高めるうえで大きな意義があった。

 ここにその全文をご紹介したい。                  (編集部)


株式会社 学研トイズ
 代表取締役 中村晃一様

拝啓 時下ますます御隆盛のこととお慶び申し上げます。

 さて、1月9日発行の夕刊フジおよび翌10日の産経新聞の紙上で「学習教材大手『学
研』(東京)グループが国内向けに販売する音声ガイド付きの地球儀が、中国政府から
圧力を受けて、台湾を単なる『台湾島』と表記していることが9日、わかった」との報
道がありました。

 この報道によると、御社は「『もともと香港のメーカーが開発し、日本語版の製造、
販売権を当社が取得した。当初は日本の学校教科書同様の表記をするつもりだったが、
工場が中国にあり、中国政府から表記を変更しないと日本への輸出を認めないと迫られ
た。すでに玩具ショーなどで注文が殺到していたので、仕方なく中国政府の指示に従っ
た』と説明した」とあります。

 また、御社の製品の説明書には「この地球儀は生産国の中華人民共和国政府の指示に
より、地球儀表面の『台湾』の表記が『台湾島』音声が『中華人民共和国』となってお
りますことをあらかじめお断りさせていただきます。お客様にはご迷惑をおかけ致しま
すが、ご理解の程よろしくお願い致します」とあるそうですが、これは御社が故意に台
湾を中華人民共和国の一部として表記することを黙認したということですか。

 同報道では「世界地図の表記はその国の利益に直結しており、他国の主張にやすやす
と屈服し、自国で販売するというのは主権侵害への加担であり、一企業の商行為でも不
誠実のそしりは免れない。それが学習教材大手というからなおさらだ」という有識者の
コメントがありますが、台湾は中華人民共和国とは別の主権国家であり、まさに御社の
行為は台湾に対する主権侵害の加担にほかなりません。

 「お客様にはご迷惑をおかけ致します」と理解されているのであれば、速やかに事実
に基づいた正しい表記に改め、中華人民共和国による台湾への主権侵害に加担しないよ
う、ご理解の程よろしくお願い致します。また同時に、台湾国民の感情を傷つける同製
品の販売中止を要求します。                       敬具

 2008年1月10日

                   台北駐日経済文化代表処 広報部長 朱文清



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