【7月22日 読売新聞】
【台北=石井利尚】現代中国の指導者、蒋介石(1887〜1975)の日記のうち46〜55年ま
での原本が、保管先の米スタンフォード大で公開された。
21日付の「中国時報」紙が同大学発で報じた。国民党軍が47年に台湾住民を武力弾圧
し、2万人とされる犠牲者が出た2・28事件について、毛沢東の共産党軍との内戦に追わ
れていた蒋介石が、住民の抗議行動を「暴動」と認識、鎮圧を急いだことが明らかにな
った。
報道によると、軍が台湾に上陸した直前の3月7日、蒋介石は「台湾で暴動が起き、役
人や外省人(大陸出身者)が殴られ、数百人が死傷した。陸海軍を台湾に特派し、兵力
を増強する。まだ、共産党組織が(台湾に)浸透していないので、手をつけやすい」と
記した。
蒋介石は当時、中国大陸で国共内戦を指揮。翌8日には「延安の共産党との戦いで手
いっぱいの中で不測の事態が起きた。今月は台湾の対応で忙しい」と嘆いている。
さらに、「台湾人は(日本植民統治から)中国に戻ったが、長い間、日本に奴隷化さ
れ、祖国(中国)を忘れてしまっている」(7日の日記)と、抗議行動を起こした台湾
人への不信感も表現している。