【1月30日付 読売新聞】
【台北=石井利尚】台湾の陳水扁政権は、中国歴代皇帝の文物を集めた台北の故宮博物
院に関する法律について、「北京」や「中国」の文字を削除した改正案をまとめた。
独立志向の陳政権による台湾本土化の一環と見られるが、中国は「文化面での中台分断
の動き」と反発している。
注目されているのは、故宮の役割を規定した1986年公布の法律の第1条。「北平(北京)
故宮博物院と国立中央博物院(南京)の所蔵品の整理・保管」と規定されている部分が改
正案ですべて削除されたほか、収集と研究の対象が、「中国古代文物、芸術品」から、「
国内外の文物、芸術品」に変更された。
改正には、立法院(国会)の審議・議決が必要。台湾当局は「時代や環境の変化に伴う
もの」と説明しているが、中国は「文化の台湾独立の動きは(中華)民族感情を傷つける」
「台湾と大陸のつながりを消し去る動き」(人民日報・海外版)と批判している。
故宮の収蔵品は、日中戦争の戦火を避けるため、国民党が北京の故宮から運び出したも
ので、台北の故宮は「文物が北京から来た歴史事実を否定したことはない」としている。