明日3月14日は、中国が昨年の全人代で制定した「反国家分裂法」から1年という節目の
日だ。台湾政府はこの14日を「反侵略記念日」に指定した。また、これを受けて、来る3月
18日、与党・民進党、李登輝前総統を精神的指導者と仰ぐ台湾団結連盟、台湾独立建国聯
盟などが10万人規模の反中国デモを台北市内で行う。
一方、中国国民党は昨日、陳水扁総統が国家統一綱領を事実上廃止したことに反発し、
馬英九主席が先導して台北市内でデモを行った。しかし、10万人規模のデモを行うと前宣
伝していたにもかかわらず、集まったのは数千人だったという。公称100万党員を謳う国民
党にしては、いかにも規模が小さい。
この一事にも、台湾の民意がよく表れていると言ってよい。中国は「反国家分裂法」を
制定し、台湾に照準を合わせたミサイルをふやし続け、すでに800基近くに達しているとい
う。現状を変更しつつあるのは、まさに中国なのである。中国国民党が批判すべきは陳水
扁政権ではなく、中国なのである。台湾の民意はそう示している。
今朝の読売新聞と、中国国民党のデモを伝えるロイター記事をご参考までに掲載する。
(メールマガジン「日台共栄」編集長 柚原正敬)
陳政権孤立化戦術、台湾は対抗措置…反国家分裂法1年
【3月13日 読売新聞】
【台北=石井利尚】台湾の陳水扁政権は、中台統一を最終目標とする「国家統一綱領」の
事実上の廃止などを「反国家分裂法」への対抗措置との主張を始めている。
中国が同法制定以降、台湾野党や経済界を巻き込み「統一攻勢」を強めたことへの「バ
ランス維持」というのが理由だ。
行政院(内閣)は8日、14日を「反侵略記念日」に指定、同法撤回を訴えていくこと
を決めた。陳総統の与党民進党が18日に行う10万人デモでは、中国が台湾近海にミサ
イルを発射した10年前の「台湾海峡危機」とともに、同法制定への抗議を行う予定だ。
台湾当局幹部は12日、陳総統が表明した対中経済交流の「積極管理」方針について、
資金や人材、技術移転の管理指針を近く公表すると言明した。黄営杉経済部長(経済相)
は9日、海外投資額に占める対中投資比率を10ポイント引き下げ、対インド投資などを
奨励する方針を表明している。
こうした経済管理強化や、「国家統一綱領」の“廃止”について、大陸委員会幹部は本
紙に対し、「反国家分裂法」への対抗措置と強調。台湾側には、同法が「中国による一方
的な現状変更」(陳総統)であることを国際世論に訴え、政権の「独立路線」回帰を正当
化する狙いもある。
台北で数千人がデモ行進、対中関係悪化で陳水扁総統を批判
【3月12日 ロイター】
[台北 12日 ロイター] 台湾の陳水扁総統が国家統一綱領の事実上の廃止を決定
し、中国との関係を悪化させたことなどを非難する数千人規模のデモ行進が12日、台北
で行われた。
中国は、中台統一の条件や手続きを定めた国家統一綱領の事実上の廃止を「危険な挑発」
だとして強く批判している。
デモの参加者は、台湾の野党、国民党の馬英九・主席に率いられ、小雨の中を総統府に
向かって行進した。
馬英九・主席は「陳水扁政権は次々にスキャンダルを起こし、人々は苦しんでいる。し
かし、陳水扁総統は統一対独立という問題を主要課題にしようとしている」と語った。
デモの主催者らは当初、10万人を動員する計画だとしていた。
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