東京新聞の浅井正智・上海支局長が「台湾の孤立化を進める習近平政権の意向が働いているためとみられる」と報じている。さもありなんだ。下記にその記事の全文を紹介したい。
実は、別掲の「黄文雄の『日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実』」で述べているように、8月29日に北京で行われた王毅・外相と秋葉剛男・外務事務次官の会談で取材拒否にあった産経新聞も、中国から上海支局長の後任にビザを発給されないという嫌がらせを受け続けてきた。ほぼ10年の長きに及ぶという。
新聞社の海外支局長は3年交代がほとんどだから、異常な事態だ。そこでやむなく産経新聞は今年8月1日、中国総局長が上海支局長を兼任する人事を発令している。
台湾ばかりでなく、意図に沿わない記事を書いたり批判したりするメディアには徹底的に圧力を加える。これが「報道の自由」より一党独裁国家を優先する中国の強権政治の実態だ。
————————————————————————————-香港・台湾、代表不在1カ月 中台関係の悪化が背景か【東京新聞:2018年9月3日】
【上海=浅井正智】台湾と香港が相互に派遣している代表機関のトップが1カ月以上、空席になっている。香港政府が台湾から来る新任代表にビザを出さず、任期が切れた香港の駐台湾代表の後任も決まっていないためだ。台湾で独立志向の強い民進党の蔡英文(さいえいぶん)政権が2年前に発足して中台関係が冷え込む中、台湾の孤立化を進める習近平(しゅうきんぺい)政権の意向が働いているためとみられる。
台湾の中央通信社によると、台湾政府の香港での代表機関、台北経済文化香港弁事処(総領事館に相当)のトップに任命された盧長水(ろちょうすい)氏は当初、7月末に香港に着任する予定だったが、香港政府は盧氏にビザを発給していない。
中央通信社は香港消息筋の話として「現在の状況を考えれば、着任の遅れは奇異ではない」と伝え、中台関係の悪化が背景にあることをにじませた。
一方、香港政府の台湾での代表機関、香港経済貿易文化弁事処の前トップは7月下旬に離任したが、香港政府はその後任を選任していない。当局者は香港紙・明報に「関連の人事は進行中」とだけコメントした。
2000年に初の民進党政権である陳水扁(ちんすいへん)総統が誕生した際、駐香港代表機関トップにビザが出るまで13カ月を要した前例がある。