黄昭堂先生のご遺徳を偲び、心からご冥福をお祈り申し上げます。
2012年は世界各地で選挙が行われる年です。中国においては胡錦濤主席から習金平主席に替わります。一方、台湾でも総統選挙が行われ、中国国民党の馬英九主席が勝つのか民進党の蔡英文主席が勝つのか分かりませんが、台湾の国民が選ぶことは明らかです。それは、台湾の国民の誇りとするところであろうし、その誇りを勝ち取るために生涯を懸けて戦われてきたのが黄昭堂先生だったのではないでしょうか。
しかし、命半ばで亡くなられた黄昭堂先生にとって、台湾の真の独立を勝ち取ることこそ台湾の人々にとって誇りある国民となることではなかったかと拝察しています。ですから、選挙を待たずしてこの世を去るというのは大変残念だったのではないかと思います。
黄先生が人生の大半を擲って台湾のために尽くされた功績を台湾の人々が忘れることはないだろうと思いますし、また、勉学の地として、台湾の独立運動を始められた地であるこの日本で交わった多くの友人の方々、そして日本人は先生の生涯を決して忘れることはないだろうと思います。
先生のご功績により台湾は変化しました。事実、選挙によって総統を選び勝ち取るというのは、自由と民主主義を価値観とする国々にとっては極めて重要なことで、台湾の総統選挙の結果に対して我が国も選挙結果を尊重するメッセージを出すべきだろうと思います。
今年9月に台湾を訪問した際に、黄昭堂先生には大変温かく迎えていただきました。そのときのことを今でもよく思い出すのですが、まさかこれほど早く先生とお別れするとは思いもよりませんでした。
私は先生の友人として、また台湾の友人として、今後、台湾の人たちが世界の孤児ではなく、世界の国々から全体として権利を勝ち取ることができるように全力を尽くして参りますことをお誓いしてお別れの言葉といたします。どうぞ安らかにお眠りください。