本日の「読者の声」で紹介したように、昨日の産経新聞で、櫻井よしこ氏は「異形の
国」中国について「この隣国と付き合いながら、その脅威をどう抑制していくかは、日
本がいかに賢く強くなっていくかと同義語だ。日本の対処の仕方が21世紀の日本の運命
を決する」と正論を吐いた。
まるでそれと符号するかのように、昨日の自民党の安全保障調査会において、防衛省
の高見沢将林防衛政策局長が、中国が台湾を武力攻撃した場合、「これは日米安保の問
題ではなく、日本の安全保障の問題だ。そういう姿勢を示すことが大事ではないか」と、
日本の対処の仕方についてまっとうな見解を表明した。さすがにシビリアンといえども、
軍人である。
ところが、政府中枢の政治家から「王様は裸でない、と言うべきでない」と牽制され
る。いつまで日本は中国に媚びへつらうのだろうか。台湾有事は日本の有事なのだ。本
誌は高見沢将林防衛政策局長の発言を支持する。
(メルマガ「日台共栄」編集長 柚原 正敬)
台湾有事は日本の問題 防衛政策局長が自民会合で発言
【3月14日 MSN産経ニュース】
防衛省の高見沢将林防衛政策局長は13日の自民党安全保障調査会で、台湾海峡有事に
ついて「中国から『周辺事態(認定)はどうするのか』と聞かれれば、『日本は当然す
る』(と答える)。日米安保ではなく、これは日本自身の安全保障の問題だ」と述べ、
周辺事態法適用の可能性に言及した。これまで政府は台湾有事が同法の適用対象となる
か明確にしてこなかった。発言は台湾の武力統一も視野に急激な軍備増強を進める中国
への防衛当局の強い警戒感を示したものといえる。
高見沢氏は周辺事態法の適用可能性に触れる一方、「周辺事態とするかどうかの前に、
自衛隊は警戒監視を高め、それなりの対応を取らないといけない」と指摘した。
高見沢氏の発言は、中国の軍事動向についての防衛省の分析を説明する中で出た。高
見沢氏は20年連続で2ケタの伸びを続けている中国の国防予算について「台湾(に独立)
をあきらめさせる意図がある」と指摘。中国が台湾を攻撃した場合の日本の対応につい
て「与那国島など近くは影響を受けるし、日本の主権が侵されない形での戦闘になると
いうこともある」と語った。
平成11年に成立した周辺事態法は「周辺事態」の定義について地理的概念とせず、対
象地域をあいまいにしてきた。防衛当局者による今回の発言は、その間に増強された中
国の軍備力が日本の安全保障にとって座視できない水準まで増強されたことを物語って
いる。
米国防省は今月、中国が台湾制圧能力だけでなく、海軍力を強化し尖閣諸島や東シナ
海の権益をめぐる紛争への対処能力を高めているとの報告書を公表。人民解放軍将官は
一昨年11月に東京で開かれた非公開のフォーラムで、台湾防衛のため日本が米軍の後方
支援に動いた場合、中国軍が日本の南西諸島を攻撃する可能性に言及している。
ただ、高見沢氏の発言に対し、13日の調査会で自民党の山崎拓元副総裁は「最も戦略
的あいまいさを必要とする分野で、日本独自の判断では(認定は)なかなかできない」
と指摘。町村信孝官房長官も同日の会見で「台湾だから自動的に適用されることには全
くならない」と語るなど、台湾有事にどう対応するかの方針は定まっていないのが現状
だ。
◇
■周辺事態
放置すれば日本に対する武力攻撃に至る恐れのある事態など、日本周辺地域における
日本の平和と安全に重要な影響を与える事態。周辺事態が発生した場合、日本は自衛隊
による米軍への補給・輸送などの後方地域支援ができる。中国の台湾軍事侵攻や北朝鮮
危機などが周辺事態にあたるとみられるが、政府は同事態の定義に台湾を含む「極東」
との概念を使わなかった。
◇
高見沢氏の発言要旨は次の通り。
中国の軍事費増は台湾をあきらめさせる意図がある。日本は中台で事が起これば与那
国島など近くは影響を受けるし、日本の主権が侵されない形での戦闘になるかというこ
ともある。警戒監視を高めるし、周辺事態的要素もあるので、そういう前提で対応して
いく。
周辺事態の話だが、私どもの考え方では仮に中台で何か起きれば、それはわが国にと
って大変な事態なので、周辺事態とするかどうかの前に、自衛隊の態勢としては当然、
警戒監視を高めて、それなりの対応をしないといけない。中国から「周辺事態(認定)
はどうするのか」と聞かれれば、「日本は当然する」(と答える)。「これはわれわれ
自身の安全保障の問題なんだ。だから中台で事を起こさないでくれ、絶対やめてくれ」
と言う。これは日米安保の問題ではなく、日本の安全保障の問題だ。そういう姿勢を示
すことが大事ではないか。
台湾有事巡る発言、防衛政策局長「言葉足らず」と釈明
【3月14日 読売新聞】
防衛省の高見沢将林防衛政策局長は13日夜、同省で記者会見し、自民党安全保障調査
会で「(中国と台湾の武力紛争は)日本の安全保障の問題」などと発言したことについ
て、「従来の政府の考え方を変える趣旨ではない。日本の安全に影響してくる事態だ、
と一般論として申し上げた。誤解が生じたとすれば言葉足らずだった」と釈明した。
高見沢氏は「周辺事態は地理的概念ではない」とした政府見解を改めて説明した上で、「中台有事が自動的に周辺事態にあたると述べたわけではない。中台間で軍事的衝突に
至っている場合、日本は当然、警戒監視の強化をするという趣旨だ」と発言の真意を説
明した。
これに関連し、町村官房長官は13日の記者会見で「(台湾有事への)政府のポジシ
ョンは変わっていない。台湾の問題は両当事者の話し合いで平和的に解決されるべきだ」
と強調した。