台湾人女子大生殺害の渡辺被告が法廷で「一生かけて償いたい」と謝罪

平成16年(2004年)6月28日夜、台湾の静宜(せいぎ)大学の蕭任喬さん(21歳)という女
子大生が日本旅行中、山梨県河口湖の宿泊ホテル近くに買い物に出かけた後、不埒な日本
人に殺害されるという痛ましい事件が起こりました。

 当時、私ども日本李登輝友の会と台湾研究フォーラムは、日本人としてご遺族に弔意を
お伝えたえ致したく、7月2日からお見舞金を募り、短期間のうちに205人の方々から140
万円をご寄付いただきました。8月10日、7月に赴任されたばかりの許世楷大使にこれを
届け、大使からご遺族にお渡しいただきました。

 甲府地裁で去る19日に開かれた公判の模様を読売新聞が伝えていますのでご紹介すると
ともに、併せて機関誌『日台共栄』第3号に掲載した古市利雄・台湾研究フォーラム事務
局長による報告記を転載いたします。                   (編集部)


台湾人女子大生殺害渡辺被告が謝罪
【10月20日 読売新聞】

 日本を観光旅行中の台湾人女子大生、蕭(しょう)任喬さん(当時21歳)を殺害したな
どとして、殺人、婦女暴行、逮捕監禁など6つの罪に問われている富士吉田市上吉田、無
職渡辺高裕被告(27)の公判が19日、甲府地裁(川島利夫裁判長)であり、被告人質問で
渡辺被告は「一生かかって償っていきたい」と謝罪した。次回公判は12月20日。検察側の
論告求刑が行われる。

 渡辺被告は「初めは死刑で構わないと思っていたが、嘆願書を見てやり直そうと考えた」
と供述。遺族から約1億5000万円の損害賠償を求められている民事訴訟で約1500万円を支
払う意思を示しているが、渡辺被告は「それ以外で相手の求める金額を支払っても良い」
と述べた。

 今年8月の公判で被害者の父親の錦錫さん(53)が「法廷でなければ一発殴りたい」と
証言した際、「今殴れよ」と発言をし、裁判官から注意されたことについては、「気が済
むなら殴ってくれて構わないという意味だった」などと釈明した。論告求刑公判の後、来
年2月7日に最終弁論が行われ、結審する。


【機関誌『日台共栄』第3号 平成16年10月1日発行】

蕭任喬さんのご遺族へお見舞金 許世楷駐日代表へ直接手渡し

                     台湾研究フォーラム事務局長 古市 利雄

 日台共栄の一輪の花がまだつぼみのまま、それを咲かせることなく踏み躙られてしまっ
た。

 台湾では日本のファッションや芸能人が好きな「哈日族」と呼ばれる若者がいます。台
中にある静宜大学の日本語学科に在籍していた蕭任喬さんもそうした若者の一人で、初め
ての海外旅行先に大好きな日本を選びました。しかし、平成十六年六月二十八日夜、山梨
県河口湖の宿泊ホテル近くに買い物に出かけた後、日本人によって殺害されるという痛ま
しい事件が起きてしまいました。

 日本と台湾を愛し、両国の共栄を願う私たちにとって大きな衝撃であり、日本人として
ご遺族に弔意をお伝えたえ致したく、七月二日、日本李登輝友の会と台湾研究フォーラム
ではお見舞金を募ることにしました。そして、短期間のうちに二百五人の方々から総計百
四十万円をご協賛いただきました。

 なお、日本李登輝友の会は昨年SARS救援募金を行いましたが、実施中に事態が収束
したため募金はそのままになっていましたので、これが「日本人の誠意を台湾に伝える」
という趣旨の募金であったことに鑑み、今回の募金に充当いたしました。

 八月十日、日本李登輝友の会を代表して黄文雄常務理事、台湾研究フォーラムからは永
山英樹会長、そして私古市の三名が台北駐日経済文化代表処に赴いて新任の許世楷駐日代
表と面会、ご遺族へお届けいただくようお願いしました。許代表ご自身、蕭さんが在籍し
ていた静宜大学の初代日本語学科主任教授を務められていたこともあり、駐日代表として
着任した七月五日のその夜、夫人と共に空港から蕭さんのご両親が宿泊されていたホテル
に直行してお見舞いされたそうです。

 許代表は「今回は偶発事件でした。この不幸な事件が今後の台日の友情関係に影響を及
ぼすようなことがあってはならない」とし「日本李登輝友の会やその他の日本人の誠意に
心から感謝します」と話されました。

 また、ご両親は日本の大学院留学を夢見ていた娘さんの遺志を尊重し、日台友好のため
母校に奨学基金を創設する意向だそうです。その尊いお志には日本人として深い感銘を受
けます。

 皆様のご協力に対して改めて御礼申し上げるとともに、こうした事件が二度と起こらな
いことと、蕭任喬さんのご冥福をお祈り申しあげます。


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