福島など5県産品の輸入禁止問題について、全日本台湾連合会の趙中正会長は本会が主催する11月の「台湾セミナー」において、公民投票の結果に基づいた2年間の輸入禁止延長期限が切れているのだから、台湾政府は米国産牛豚肉を解禁する2021年1月1日と同日に解禁せよと要請しました。しかし、いまのところ台湾政府の反応は鈍く、未だに解禁日程は発表されていません。
昨日の台湾国際放送などは「台湾は来年3月にこの5県の食品輸入制限を緩和することを希望している」と報じています。
この報道によれば「双方は、まだこの問題について話し合いを行っていない」そうで、日本側がまだ話し合いを求めてきていないと報じています。
福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県の5県にとって、台湾への農産物や食品の輸出再開は悲願であり、そのために千葉県などは森田健作知事がなんども台湾に赴いて解禁を要望してきています。
すでに台湾政府自身がサンプル調査で放射能の影響はまったくないという科学的根拠を公表し、公民投票による延期措置の期限も切れているのですから、台湾政府は誠意をもって速やかに解禁日を定めるべきではないでしょうか。日本政府も5県の悲願を達成するため、これまでのように日本台湾交流協会台北事務所を窓口とするのではなく、せめて農水省の副大臣クラスを派遣して台湾側に早期解禁を求めてもいいのではないでしょうか。
—————————————————————————————–日本5県の食品輸入、来年にも解禁か【台湾国際放送:2020年12月4日】
政府が来年1月1日に豚や牛の赤身を増やす飼料添加物・ラクトパミンを使用するアメリカ産豚肉と生後30か月以上のアメリカ産牛肉の輸入を解禁します。その後、福島第一原発事故による放射線汚染の恐れがあるとされる、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県など5県の農産品と食品の輸入も来年3月に解禁されると伝えられています。
これについて衛生福利部(日本の厚労省に類似)の陳時中・部長(=大臣)は4日、「そんなことはない」と否定しました。
一部のメディアは、日本側は、台湾が現在、アメリカの豚肉と牛肉の輸入問題に悩んでいることを配慮し、強硬姿勢で福島などの5県の食品輸入解禁を要求していないが、台湾は来年3月にこの5県の食品輸入制限を緩和することを希望していると報じています。
しかし、陳・部長は4日、立法院で報道陣のインタビューに答えた際、「そんなことはない」と否定すると共に、日本側はそれを強く求めていないものの、この問題は双方の話し合いに常に出てくる議題となっていることを認めました。
なお、経済部(日本の経産省に相当)の王美花・部長(=大臣)は4日、プレッシャーがあると認め、日本側も常に高い関心を示しているが、双方は、まだこの問題について話し合いを行っていないと明らかにしました。
2018年11月24日に国民党は、放射能汚染の恐れがあるとし、「政府が日本の福島など5県の農産品と食品の輸入禁止令を継続する」是非を問う住民投票を行い、賛成77.7%、反対22.3%で、住民投票が成立しました。住民投票の有効期限は、2年間。2年以内に政府は、住民投票の結果に反する政策を実施することが出来ません。この住民投票の結果を受け、日本の福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県など5県の農産品と食品は、過去2年台湾に輸入されることが制限されています。
2年は今年11月に満期になったため、政府の態度に注目が集まっています。
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