法人を法人会員とし、台湾在住の日本人を準会員としてつくる「台北市日本工商会」があ
る。創立は日台断交前年の1971(昭和46)年3月。
2012年3月末時点で、会員企業419社(505名)、準会員を合わせると820名の会員を擁
し、現在、台湾伊藤忠・董事長兼総経理の渡辺一郎氏が理事長をつとめ、渡辺理事長は台
湾メディアに「世界各地に駐在したが、台湾は非常にいいところだと日々実感しており、
自身も将来引退した後にはまた戻って来たいと考えている」と答えている
台北市日本工商会は「会員の業務上の便宜を増進し、相互の親睦を図ると共に、日華親
善並びに両国の 貿易、経済合作の発展に寄与すること」を目的に活動し、「日本人学校」
の運営にも、主管である日本人会と連携して支援活動を行っている。
昨年10月2日、念願だった「NHKのど自慢大会イン台湾」が実現したが、この実現を働
きかけたのが台北市日本工商会であり台湾日本人会だった。昨年は台北市日本工商会が40
周年、台湾日本人会が50周年を迎えることで、これをきっかけにできないかと実現につと
め、開催にこぎつけた。
本会の台北事務所が一昨年12月、アルピニストの野口健氏の講演会を台北市内で開催し
たが、台北市日本工商会や台湾日本人会の多大なご協賛をいただいて成功裡に終えること
ができた。
この台北市日本工商会は、2008年に初めて台湾政府に宛て提案書を提出、翌年からは、
より広範な提案と要望を盛り込んだ「白書」をまとめてきた。2009年には経済部に、2010
年からは経済政策を主管する経済建設委員会に提出している。
今年は11月2日に国賓大飯店で開いた月例会の席上、尹啓銘・経済建設委員会主任委員
(大臣に相当)に提出する「2012年白書」を発表、その後、尹啓銘主任に手交した。
「2012年白書」は、日台間の租税取り決めや経済連携協定(EPA)の早期締結、より
ハイレベルでの政府間交渉などを求める内容となっている。NNAニュースで詳しくつた
えているので下記に紹介したい。
◆台北市日本工商会
http://www.japan.org.tw/newsite/2010/koushoukai/
日本工商会、租税取り決めの早期締結など要望
【NNA.ASIA:2012年11月3日】
台北市日本工商会(渡辺一郎理事長)は2日、台湾政府への政策提言と日本企業からの要
望などをまとめた「白書」を行政院経済建設委員会(経建会)の呉明機副主任委員に手渡
した。日台間の二重課税を回避するための租税取り決めの早期締結などを求めている。
【井上雄介】
日本工商会が台湾政府への提言や要望を盛り込んだ「白書」の提出は今年で4回目。経建
会への提出は3回目。立法院(議会)に出席した尹啓銘主任委員に代わり呉副主任委員が受
け取った。
今回の政策提言は5項目。昨年の6項目の内容を見直し修正した。昨年の白書でも提言し
た中台間の経済協力枠組協議(ECFA)について、多くの日本企業が関税引き下げ品目
の拡大を臨んでいるとして、物品・サービス貿易に関する最終合意の早期締結を要望し
た。商工会幹部は「多くの日本企業が、台湾市場の先に中国市場をみているため」と説明
している。また、中国以外の国・地域との自由貿易協定(FTA)の早期締結も要望した。
また、11年9月の「日台民間投資取り決め」、12年4月の「日台特許審査ハイウエイ覚書」
の署名を評価する一方、日台間の租税取り決めの早期締結に強い期待を表明した。最大の
目的は二重課税の回避で、締結されれば配当、利子、ロイヤリティーへの20%の源泉徴収
率が大幅に下がるため、提言は「台湾に立地する日系企業にとって非常にメリットが大き
い」と指摘している。さらに、「日台間の物品の輸出入額は非常に大きい」として、関税
引き下げなどのため日台経済連携協定(EPA)の早期締結も要望した。
白書はこのほか、日本工商会会員の日系企業から寄せられた意見をもとに計44件の「個
別要望事項」も盛り込んだ。「自動車買い換え促進補助金制度」、「日本酒、焼酎、琉球
泡盛など酒類の関税率引き下げ」など11年以前の白書から続く33件に、11件を加えた。11
年の白書に盛り込んだ個別要望事項については、12年6月現在で進ちょく状況を評価。「実
施済み、実施予定」「検討、審議中」「不可、困難、未回答」のA、B、Cの3種類に分
類し、今年の白書に掲載した。
商工会は「モノ言う日本工商会」を標榜し、要望の提出にとどまらず、台湾政府関係者
との直接台湾による解決努力も続けている。