【産経新聞:平成24(2012)年5月3日「台湾有情」】
日本に比べ、公共交通運賃や食費などが安く感じられる台湾だが、4月1日にガソリン価
格が約10%値上げされ、その影響で電気料金も段階的に値上げされる見込みだ。
先月12日の経済部(経産省に相当)の発表では、家庭向けで約17%、商業用で30%、工
業用で35%のアップという。経済部は「産業界は構造の改革を」とハッパをかけている。
とはいえ、生活への波及は必至で、シャンプーなどの日用品や清涼飲料水、ファストフ
ードなどで5〜30台湾元(約14〜83円)程度の値上げが進行中。「100円(39元)ショッ
プ」や夜市(夜店)の賃貸料、寺院や廟(びょう)で、電灯の灯明をともす際のお布施の
アップなども話題にのぼった。
そんな中、中部の彰化県鹿港鎮で先月末、鎮長(町長)補選があり、野党・民主進歩党
所属の現職県議が、与党・中国国民党公認候補に圧勝した。
逆風を予感していたのか、総統府では補選前から5月20日の馬英九総統の2期目の就任式
典について、大規模な祝賀宴や花火を省略する、と、しきりに質実さを強調していたのだ
が。
もっとも与党は値上げ速度を抑えつつも、幹部の一人は「痛みに耐える時期も必要」と
泰然。巨漢の記者は「倹約を兼ねた減量もいいよ」と切り返されてしまった。