1月18日付の本誌(第444号)に、宮城県の読者からの「台湾への修学旅行誘致運動を妨
げる朝日の報道」を掲載後、中国ではもっと大規模に展開していることが発覚したことや
、朝日の記事に対して台湾政府の教育部(文部科学省に相当)が反発して《朝日新聞「校
長ら60人『役得』台湾旅行」報道に関する教育部のコメント》を発表したことを21日付の
第447号でも紹介しました。
この件に関しては読者の方からも何通かご意見や感想をいただいています。中でも、こ
こに紹介するご意見は、「役得旅行」と揶揄った朝日に反発するだけではなく、この教員
たちの旅行を日台交流を進めるチャンスとして捉え、日台交流の基盤をつくるために「モ
ニター制度」を導入して生かしてはどうかという前向きな提案です。実名で出せないのは
いささか残念ですが、東京にお住まいの本会会員の方です。
この提案には、編集部も大賛成です。台湾観光協会も台湾政府の教育部も、また、この
旅行を後援している財団法人「日本修学旅行協会」(日修協)も、ぜひ検討していただけ
れば幸いです。もちろん朝日新聞も、非難するだけではなく、もっと幅広く取材し、解決
策を提案をするためにも、ぜひ参考にしてください。 (編集部)
修学旅行の誘致に「モニター制度」の導入を−真の交流基盤を作るために
東京都 S・A
朝日新聞の「『役得』台湾旅行」の記事には考えさせられる点が多々ありました。
ひとつは教育者のモラルが低いこと。
これは私の大学の友人に教育従事者が少なからずいるので、彼らと話す機会が多いので
すが、特に小・中・高学校の教職員には一般社会の世情や常識に疎いのには驚かされます
。常に彼らの話題が教育界という城門の内側の話に終始しているからかしら? と思った
りしています。ですから、この問題も「教育改革」を含めた今後の課題でしょうか。
二つ目は、朝日新聞の台湾と中国に対する記事の取り上げる際の差別的な扱い方の問題
です。
メルマガ「日台共栄」編集部の皆さんや宮城県の読者のご意見はこの論点に集約される
かと思いますが、付け加えて申せば、朝日が後日言い訳がましく「中国でも……」と報道
したことで、却って「台湾は中国と同じ思考・行動パターンをもつ=やはり中国と根っこ
は一緒なんだ」との悪いイメージを植えつけてしまった感があります。
恐らく、中国や台湾ほどの接待はしなくても、他国でも多かれ少なかれ似たような誘致
合戦は行われているかと思います。朝日がもう少し手広く調査して(日本国内でも事例は
あると思います)、複数国の実態を記事に取り上げてくれたら、台湾が槍玉に上がらなく
てすみましたのに、残念です。
三つ目は、朝日新聞にしても台湾および日本の政府関係者にしても、「では、こうした
問題に今後どのように対処すべきか?」といった解決策を何も打ち出していないというこ
とです。
宮城の方のように読者としてあの記事に対して、「修学旅行の誘致運動を妨げてしまっ
ていいの?」と新聞社の在り方を問いただすのも必要でしょうが、今後の日台の文化交流
を考える一助とはなりにくく、下手をすれば「今後こうした運動は控えよう」とのネガテ
ィブな見解に発展する可能性もあります。
そこで、ちょっと考えてみたのですが(拙い提案ですみませんがお耳を拝聴)、「日台
共栄」をモットーに掲げる日本李登輝友の会として、台湾および日本の交流窓口へ、以下
のようにはたらきかけてみてはいかがなものでしょうか。
誘致合戦をする場合、ある意味で勧誘側が「接待」もしくは「優待」するのは、相手が
公務員であろうがなかろうが、当然の仕儀かと思います。今回の件の問題は、その「やり
方」でしょう。
費用が本来15〜20万円かかるところを4万5千円としても、五つ星ホテル泊でも構わな
いのですが、その見返りを義務として視察側に課せばいいかと存じます。つまり、「モニ
ター」形式にしたらいかがかと。
修学旅行の視察の場合でしたら、条件として、
1.修学旅行の際に実際に泊まる宿や食事のメニュー等はきちんと視察させる。
2.視察する側の人選は、校長および役職に限らず、広く教職員から募る。
3.台湾の観光局側が、あらかじめ知りたい情報項目を盛り込んだテーマをいくつか設定
しておき、それについて、以下のような具体的な報告書を視察者に提出させる。
・台湾の風光・風物・人への率直な感想
・台湾を修学旅行地として選ぶメリット・デメリットは?
・コースや旅行内容の改善点や要望
etc
そして、できればコースの中に、台湾の現地の大人や学生との交流の場や、授業参観(
参加でもよい)を組み込んだシステムづくりを、台湾と日本側が共同作業で取り組む、と
いった形にもっていければなおいいのですが……。
遊び半分でなく、本腰で取り組み、本物を体験した視察や修学旅行は、きっといつか両
国に役立つはずです。経済の方は、結果として良ければ、必ず後からついてくるでしょう。
こういう小さな案件を、日台一丸となって検討を積み重ねていく過程こそが、真の交流
の基盤となるのではないかと、私は思っています。
差し出がましいと存じつつ、徒然に思ったことなどを書いてみました。
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